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マーケット
2020年02月20日

定額制ビデオストリーミングサービスは、映画館利用者を減らすのか!?

寺出朋子
ソリューション事業局 マーケティングソリューション部 
寺出朋子

定額制ビデオストリーミングサービスは、映画館利用者を減らすのか!?

衝撃の話題作となった『全裸監督』や、Twitterが炎上した『バチェラー・ジャパン』など、昨今、NetflixやAmazon Prime Videoをはじめとした定額制ビデオストリーミングサービスが何かと話題になっています。
すでにビデオストリーミングサービスが定着しているアメリカでは、数年前に、これらのサービスに対抗した"映画館の定額制"『MoviePass』(※1) が誕生するなど、ビデオストリーミングサービスの急成長がエンターテインメント市場に変化をもたらしています。
日本国内で、このビデオストリーミングサービス市場と劇映画館市場の関係は、どうなっているのでしょうか。

記事の中でご紹介しているサービスはこちら 
【ACR/ex】   




まずは、各々の国内市場規模を2010~18年のデータから確認してみると、劇映画市場では2011年に市場の減少がみられたものの、2012年以降は好調に推移してきました(図1)。一方、ビデオストリーミングサービス市場は2013年から18年にかけて3.3倍ほどに拡大しており、早晩、劇映画市場を上回るとみられます。


図1:劇映画市場とビデオストリーミングサービス市場の推移
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引用元:(2010~2018年の劇映画市場:日本映画製作者連盟、2013~2018年のビデオストリーミングサービス市場:日本映像ソフト協会)


※1:
月額9.95ドル(約1000円)でひと月に何回でも映画館を利用できるサービス。2017年から2019年まで、ムービーパス社によりアメリカ全土で展開された、いわゆる「月額制の映画館の通い放題サービス」。


では、この市場を支えているのはどんな世代の人たちなのでしょうか。当社のACR/exデータから、映画利用者とビデオストリーミングサービス利用者のボリュームとその関係性を確認していきます。

映画館利用者のメインは10代、コアなファンが多いのは男性60代

最近1年間の映画館利用率と利用回数をみると、全体平均では53.8%が利用しており、映画館利用者の年間あたりでの平均利用回数は、3.7回でした(図2)。利用率、平均利用回数ともに全体平均を超えていたのが、男女10-20代でした。男女ともに、10代(女性80.8%、男性71.5%)をピークに、年代が上がるにつれて利用率は減っていく傾向にあります。若年層にとっては映画館での鑑賞が娯楽の一つとして定着しているものの、年齢を重ねるにつれて映画館離れが生じていくようです。一方で、利用回数が最も多いのは、男性60代の年間4.5回です。男性60代は、他年代と比較して、利用率が最も低いものの、利用回数では最も高くなっています。余裕があって、自分の時間をある程度コントロールできる男性60代には映画館のコアなファンが一定数見受けられます。
映画館のメイン利用者は男女10-20代の若年層ですが、男性60代に一定数のコアな映画ファンがいるのも特徴です。

図2:最近1年間の映画館利用率と平均利用回数<性・年代別>
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※( )内は利用者ベースの平均利用回数  
データソース:ACR/ex2019,全国7地区

定額制ビデオストリーミングサービスの利用者は20代がピーク

次に、ビデオストリーミングサービスの利用率と、一日あたりの利用時間をみてみましょう(図3)。全体平均では、利用率は19.8%、利用者ベースの利用時間は76.6分。利用率は2割を切っており、映画館利用に比べると、まだまだ浸透しているとはいえません。
その中でも、利用率がもっとも高いのは、男性20代、男性30代の男性若年層です。利用時間だけでみれば、女性10代が114分と圧倒的に長くなっています。
さらに、利用率・利用時間ともに全体平均を超えていたのが、男女20代と女性30代で、利用率は3割弱、利用時間も80分以上でした。
男女で比較してみると、全体として、男性の利用率のほうが高い傾向にあります。特に、40-50代の高年齢層では、10ポイントもの開きがあります。ビデオストリーミングサービスのメイン利用層は、男女20代と、男性30代といえますが、女性10代の利用時間の圧倒的な長さも特徴的です。
また、利用者はどの年代も1日60分以上利用しており、利用の習慣化がうかがえます。


図3:定額制ビデオストリーミングサービス(※2)利用率と利用時間
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※( )内は利用者ベースの利用時間[1日あたり]の平均値 
データソース:ACR/ex2019,全国7地区


映画館とビデオストリーミングサービスの利用率をみた結果、映画館利用では10代がメイン、ビデオストリーミングサービス利用では男女20代、男性30代がメインで、女性10代の圧倒的な長時間視聴を踏まえると、どちらも比較的若い世代の方が利用する傾向にあります。若年層は、InstagramやTikTokなど日常的に短尺の動画によく触れていると言われますが、他年代と比べて、映画館利用率やビデオストリーミングサービスの視聴時間は高めでした。映像の長さに関係なく、若年層の映像コンテンツへの関心の高さがうかがえます。

※2:ACR/exでは「有料動画配信サービス」のカテゴリー名で調査しています。

若年層とシニア層では定額制ビデオストリーミングサービスのみの利用者が少数派!

次に、ビデオストリーミングサービスの伸長がこの先の映画館利用に影響するのかに迫るため、まずは映画館利用者とビデオストリーミングサービス利用者の重なりを確認してみます(図4)。
どの年代においても、映画館のみの利用者が5割前後占めており、ビデオストリーミングサービスのみは1割にも満たず少数派です。
利用率が高く、ストリーミングの映像エンターテインメント市場を先取りしている男女10‐20代でも「映画館のみ」の割合が圧倒的高く、「ビデオストリーミングサービスのみ」の割合はわずか5%にとどまっています。また、両方とも利用している人は、相対的に高く、他年代にくらべて映像コンテンツへのニーズが高いことがわかりますが、割合でみれば1割半とまだまだ多いとはいえません。両サービスの利用者の重なりをみると、ビデオストリーミングサービスが映画館利用の脅威になるとは言い難いようです。



図4:定額制ビデオストリーミングサービス利用者と映画館利用者の重なり
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ACR/ex2019,全国7地区

ビデオストリーミングサービス加入によって、「映画館利用」が増えている!?

次に角度を変えて、ビデオストリーミングサービス利用者を対象に、映画館利用に関して一年前と比較した行動の変化をみてみました(図5)。2018年と2019年のデータを比較すると、全体平均では「一年前より映画館行くことが増えた」の割合が微増、逆に「減った」の割合は減少しています。特に、男女10‐20代、50⁻60代は「増えた」割合が5ポイント近く上がっており、「映画」に対する受容性はさらに高まっているといえそうです。
これらのデータを見る限り、ストリーミングサービスが、映画館利用を脅かしているとはいえないようです。むしろ、特に若年層とシニア層においては、ストリーミングサービスの加入が、映画館利用の増加のきっかけになっているのかもしれません。


図5: ビデオストリーミングサービス利用者における映画館利用の変化
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ACR/ex2019,全国7地区


ここまでのデータから、定額制ビデオストリーミングサービスの勢いが映画館利用者を奪っていることはなく、むしろ、ビデオストリーミングサービス利用者の中には、映画館利用の機会が増えている可能性があることがわかりました。
定額制ビデオストリーミングサービスは、日本独自のオリジナルコンテンツが充実してきており、ビデオストリーミングサービス市場の伸長は誰もが予測できることでしょう。しかしだからといって、その勢いが映画館の利用者を奪っていくとは考えにくいといえそうです。利用者には映画館とビデオストリーミングサービスの使い分けがなされていることも今回の結果から想像でき、映画館の戦略次第では、今後さらなる相乗効果も期待されます。最近の映画館は、臨場感のある映像を提供するIMAXや4DXの設置や、応援上映など時間や空間を共有することの価値を高めています。映画館独自のエンターテインメント性をさらに打ち出していくことが、ビデオストリーミングサービスの勢いに負けない戦略になっていくはずです。映像コンテンツへの受容性を確認するためにも、映画館とビデオストリーミングサービスの関係性には注目です。

【データソース】
2018年4-6月、2019年4-6月実施 ビデオリサーチ「ACR/ex」全7地区
全国7地区(東京50㎞圏+関西+名古屋+北部九州+札幌+仙台+広島)12-69歳男女1万人へのアンケート結果より抜粋

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