視聴率実践講座 ~ その18 ~

VRDigest編集部
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※本記事は1998年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

さて、基本的な視聴率分析の"技"については、ほぼ先月号まででご紹介できたことと思っております。読者の方々は既にお気づきかと思いますが、分析手法の根底には"ビデオリサーチの機械式視聴率調査方法がパネルであることを生かそう"とする考え方があります。

(*パネル:同じ標本(サンプル)から継続的に情報を取る調査手法)

 当社では、関東地区(ピープルメータ)600世帯については2年、他の地区については3年で標本世帯が一新するパネル設計でテレビ視聴率調査を実施しています。つまり、調査対象世帯を一度に交換するのではなく、常に調査エリア全体の縮図となるように、毎月少しずつ入れ替える手法です。たとえば関東600世帯の場合、24ヵ月後に標本世帯が全て入れ替わる設計となっており、1ヵ月に25世帯(600世帯/24ヵ月)が新しい標本世帯(ローテーション世帯と呼んでいます)となり、以降の2年間について、継続して調査する仕組みを取っています。(他に標本世帯側の転居等の都合によるサンプル交換も、多くはありませんが発生します。)

今回シリーズでご紹介したR&F、流入流出等の分析を、2日間以上の期間設定で行う場合、継続標本を使用することが、一部を除き原則となっています。よって、視聴率分析を行う場合、対象期間設定が短いほど大きな有効サンプル数のもとに分析する事ができるという事になります。(ちなみに、視聴分数分布、個人視聴パターン分析等の分析手法は放送毎の"見られ方"を把握するものですから、ローテーションしたサンプルのデータを含めて分析することができます。)

また、日記式の視聴率データの場合は、月曜日から日曜日までの1週間について、継続して同じ世帯に調査をお願いする形を取っていますので、中途からの有効・無効サンプルは存在しません。

よって、日記式データを使用する場合は、分析期間内サンプル有効条件の設定そのものが、必要無いのです。

 さて、"パネル"の話に戻りましょう。関東地区の場合には、個人視聴率調査が機械化され、世帯視聴率と同様に個人視聴率についても、データが1週間以上継続して得られるようになったため、'97年4月から、パネル標本として、週をまたぐ分析が可能となったのです。そして、まさにこの事実が機械化による最大のデータメリットでもあるのです。

 視聴率分析の対象となる調査標本に継続性があることにより、番組および時間区分などの視聴率の変化の要因を、単発の調査結果を比較するよりも、よりシビアに知ることができるのです。それを"知るため"の分析手法をシリーズで紹介させていただいたとも言えます。具体的には、継続標本の視聴行動の変化をセグメント別に捉えることができるからです。但し、繰り返しになりますが、パネル標本の性質として分析対象期間が長くなるほどに、有効サンプル数が減少してしまうのです。分析者には、分析対象期間と、有効サンプル数のせめぎあいが常につきまとうのです。

 視聴率分析を施すことにより、継続標本の視聴行動の"変化の具合"と"プロフィール"を明確にすることができます。(単発の調査結果の比較の場合、プロフィールはわかります。)

 番組の"変化の具合"をみて、放送時間帯、ジャンルなどで判断の基準は違いますが、番組自身が健康であるか、視聴率分析結果として良質であるか否かを診断することができます。そして判断の基準となるのが放送毎の見られ方の変化(視聴分数分布)、拡がりの状況(累積到達率)、習慣性(平均視聴回数・分布)などの分析結果なのです。

番組のジャ㌢ルでその基準は違います。番組放送分数により近い視聴分数分布世帯(者)の比率が大きいことがストーリー系の番組には特に重要です。良質の連続ドラマは必然的に視聴の習慣性が強いという分析結果が出るものなのです。

バラエティの場合、番組のタイプ、放送時間帯で非常に多種多様な様相を呈します。

視聴世帯(者)側が番組接触を拒否するパターンを含めて番組の"見かた"を決めていく過程が分析結果として出てくるとも言えます。

いずれにしても、その理由の如何は視聴者に聞かなければわからないのですが、番組分析することにより、番組のテコ入れ、リニューアルを制作者側が目指すのであれば、問題点、そしてその後の対応については、当社の「番組カルテ」を利用するなり、グループインタビューを実施するなどして、解決方法を探っていくことになります。

以上が、「視聴率実践講座~その17~」までのまとめということになります。その他の応用手法については、先月号の誌面で、多少の説明をさせていただきました。その実際の手法、使い勝手の事例については、少し時を置いてご紹介をしたいと思っております。

                          (本社テレビマーケティング部 加納永-)

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