心を動かす映像をAIはどう見抜く? 〜感情の可視化がもたらす可能性~【VR FORUM 2025】

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心を動かす映像をAIはどう見抜く? 〜感情の可視化がもたらす可能性~【VR FORUM 2025】

[登壇者](右から)
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 統合チャネル戦略本部 ADK SCRUM プランニング・ディレクター 千葉 智隆 氏
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ エクスペリエンス・クリエイティブ本部 ADK SCRUM クリエイティブ・ディレクター 加藤 洋平 氏
株式会社ビデオリサーチ ビジネスデザインユニット 新規ビジネス開発グループ プランナー 野木 美穂

動画視聴者の感情をAI予測することで、広告・コンテンツの制作現場やクリエイティブ表現、メディア設計はどう変わるのでしょうか。ビデオリサーチが開発した「Emolyzer」の事例も交えながら、クリエイティブとプランニングの第一線で活躍するADKマーケティング・ソリューションズの千葉氏、加藤氏に「感情予測の分析」の可能性をうかがいました。

クリエイティブPDCAに視聴者の感情可視化が必要な理由―クリエイティブも定量的な成果が求められる時代に

セッション冒頭では、千葉氏から株式会社ADKマーケティング・ソリューションズの社内組織「ADK SCRUM」について説明がありました。

同氏と加藤氏が所属するADK SCRUMは、メディアプランニングとクリエイティブの専門知識を融合させ、クライアントの課題解決に貢献するための統合ユニット。ビジョンとして『アッパー/ミドル領域を、もっと強く。』を掲げています。千葉氏は、昨今メディア環境が変化する中で、メディアのみのPDCAでは得られる効果が限定的である現状から「メディアとクリエイティブが一体となったPDCAをマーケティングファネル上のアッパー/ミドル※領域に拡張していくことで、クライアントのマーケティング成果にコミットしていきたいと考えている」と説明しました。
※アッパー...認知、ミドル...興味・検討

次に、クリエイティブPDCAにおいて、視聴者の感情を可視化することがどのような価値をもたらすのかについて意見を交わしました。加藤氏は、制作現場における課題として「クリエイティブも定量的な成果を求められることが非常に多くなっている」とコメント。それを受けて野木も、広告やコンテンツの世界では視聴者の「心を動かすこと」が記憶に残ったり行動につながったりと成果に直結すると言われている一方で、具体的にどこで心が動いたのか、動かなかったのかを把握するのは難しい課題だと話しました。こうした課題を解決するためにビデオリサーチが開発したソリューションとして、「Emolyzer(エモライザー)」を紹介しました。

「Emolyzer」は、動画視聴者が抱く感情をAIが解析することで、調査を介さずに動画のクリエイティブ評価を可能にするソリューション。18種類の感情項目を秒単位で可視化できるところが特徴で、動画視聴者の感情がどこで動いたかがわかります。また野木は、動画をツール上にアップロードするだけでAIエンジンが解析して結果をダウンロードできるため、操作が簡単であるところも紹介しました。

視聴者の感情反応を秒単位で可視化!

クリエイティブの現場で「Emolyzer」はどう活用できるのか? ―「制作側の狙い」が視聴者に伝わるかを客観的に立証

続いて、加藤氏と千葉氏が、「Emolyzer」の活用事例を交えながら、クリエイティブ、プランニングの視点から「Emolyzer」への期待や今後の課題を紹介しました。

まず加藤氏からは、同氏が制作したTVCM(Global X Japan、イースト駅前クリニック)5本のクリエイティブ紹介と、Emolyzerを介した感情指標の分析結果を提示。Global X JapanのTVCM2種A、Bのうち、Aでは「高級感のある」「スタイリッシュな」が高スコア、Bでは「インパクトのある」が90超え(最大スコア:100)と最も高いスコアを記録し、加藤氏は「狙った通りの結果が立証されて安心した」と述べました。また、タレントのひょうろくさんを起用したイースト駅前クリニックのTVCMでは、「男の牙」というコピーを用い、ひょうろくさんが牙を付けたクリエイティブも制作。牙を付けていない動画と比較すると、「斬新な」「インパクトのある」という感情指標項目で高いスコアが出ており、「Emolyzer」の分析から「牙」のモチーフがキャッチーさを高めていることが確認されたと説明。「クリエイティブ制作での感覚的な部分を、Emolyzerはうまく証明してくれている」とコメントしました。

これらの事例を通じて「Emolyzerの分析結果のうちトップスコアを見ることで、狙い通りの感情を作り出せているかを立証してくれた。結果を見て、制作者としては安心した」と加藤氏。そのうえで、感情と表現の因果関係をより細分化して分析できるようにすることで、クリエイティブの"公式化"ができるようになればさらに良いと述べました。

同氏はさらに、KPI×クリエイティブを実現する一手として今後も活用していきたいとコメント。加えて、「クリエイティブは感覚的なもの。そこが魅力である一方、昨今は定量的な成果へのコミットメントが求められています。Emolyzerを用いることで、この相反するものの具体的な表現方法や演出ロジックを客観的に補強できるのは心強く、今後も期待したい」と話しました。

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ エクスペリエンス・クリエイティブ本部 ADK SCRUM クリエイティブ・ディレクター 加藤 洋平 氏

「Emolyzer」のプランニング活用と可能性-KPIと相関性の高い感情項目を発見

続いて、千葉氏からはプランニング視点で「Emolyzer」の活用事例を紹介。プランニング活用において「動画の素材尺、フォーマット、業種の違いが感情スコアにどのような影響を与えるのか」「KPIに対して感情スコアをどう活かせるか」を明らかにしたいと述べ、自社で制作したクリエイティブ60件のPoC分析から得られた4つのファクトを紹介しました。

A:素材尺が感情スコアに与える影響
検証内容:15秒と30秒素材の尺(長さ)の違いによる、感情のポジティブ/ネガティブについて比較。
結果:30秒の素材の方がポジティブイメージを引き上げ、ネガティブイメージを抑制。
=ブランディングにおいて長尺素材の有効性が示唆された。

B:フォーマットによる感情スコアの差
検証内容:同内容のクリエイティブで、横型・スクエア・縦型 フォーマットにおける感情スコアの差を比較。
結果:インパクト以外の感情スコアでフォーマットの差はほぼない。
=得たい感情に応じてフォーマットを変える必然性が必ずしもあるわけではない。

C:業種による感情スコアの傾向差
検証内容:異なる業種(教育・レジャー・機能性食品)のクリエイティブで感情スコアを比較。
結果:ほぼすべての感情スコアで業種ごとに顕著な違いがある。
=傾向差を踏まえて業種ごとに基準値を見ることが重要。

D:KPIに与える感情スコアの影響
検証内容: 実際に広告配信したクリエイティブ(「CPA:顧客獲得単価」をKPIとして設定したダイレクト系商材の広告)で、「Emolyzer」の感情スコアとKPIの関連性を検証。
結果:感情指標のうち「こだわりを感じる」「共感できる」「スタイリッシュな」「独自性を感じる」「さわやかな」の5つの項目がKPIと相関性の高い感情であると確認。
=素材制作における評価軸として活用できるのではと示唆。

さらに千葉氏はDの結果について、「Emolyzer」では感情がどのように推移していくのか秒単位で把握することができるため、どのようなシーンがKPIの向上に付与できるのかを可視化することもできると解説。これにより、KPIを向上させるためにどのような演出・シーンを盛り込めば良いのか予測することができると話しました。

KPIに与える感情スコアの影響は?

さらに千葉氏は、「どのような感情がクライアントのKPIに寄与するかがEmolyzer上でわかるようになれば、より踏み込んでクリエイティブやプランニングを考えられるようになるのでは」とコメント。加えて加藤氏も「Emolyzerを事後の効果検証ツールではなく、制作伴走ツールとして使っていきたい」と話し、「Emolyzer」の進化に期待を寄せました。

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 統合チャネル戦略本部 ADK SCRUM プランニング・ディレクター 千葉 智隆 氏

さらに進化する、ADK SCRUMのクリエイティブPDCA

これまでの話を受け、野木から千葉氏へ、ADK SCRUMが今後どのような取り組みで効果的なPDCAを実現しようとしているかについて伺いました。千葉氏は、ADK SCRUMが取り組む「クリエイティブPDCA」について紹介。「AIを活用したクリエイティブの診断から改善示唆を行うクリエイティブコンサルティングサービスの準備を進めており、その中でAIソリューションを活用した分析・テストツールとしてEmolyzerも活用したい」と話しました。

クリエイティブPDCAの取り組み

最後に野木が「Emolyzer」のアップデート内容を紹介し、「内容理解」「興味関心喚起度」「購入・利用喚起度」といったコンテンツ効果の予測ができる6つの指標を追加したことや、UIやUXを改善し、複数の感情指標の比較が容易になることなどを説明。「コンテンツ効果を予測しながらクリエイティブ改善に活かしてほしい。KPIに直結する予測指標をもとに、今後もクリエイティブの制作や意思決定をより戦略的にサポートしてまいりたい」と述べました。

株式会社ビデオリサーチ ビジネスデザインユニット 新規ビジネス開発グループ プランナー 野木 美穂

またAIによるVコン(ビデオコンテ)生成との連携も検討していることも明かし「本番のクリエイティブを制作する前にAIを活用してVコンを作れるようになることで、より効率的なクリエイティブ制作を可能にしたい」と展望を述べ、セッションを締めくくりました。

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 統合チャネル戦略本部 ADK SCRUM プランニング・ディレクター 千葉 智隆 氏・株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ エクスペリエンス・クリエイティブ本部 ADK SCRUM クリエイティブ・ディレクター 加藤 洋平 氏・株式会社ビデオリサーチ ビジネスデザインユニット 新規ビジネス開発グループ プランナー 野木 美穂

全19セッション分のレポート公開中!こちらから

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「Emolyzer

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