視聴率分析手法のご紹介(5)「特命リサーチ200x -2」視聴分数分布~iNEX2新規メニューのご紹介~

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※本記事は2004年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 今月は、ビデオリサーチのネットワーク情報サービスシステム「iNEX2」におけるテレビ視聴率特別分析で新規メニューとして集計可能となった「視聴分数分布」についてご紹介いたします。分析手法としては昔からあるものですが、今回新たに「iNEX2」のメニューに加わったことで皆さまの目に触れる機会も増えると思いますので、改めてご紹介させて頂きたいと思います。

 【図表1】は、2004年2月1日放送のNHK給合「新選組!」および同じ日曜20時枠放送の各番組の「視聴分数分布」集計結果です(特性は世帯)。この結果をみると、「新選組!」を放送時間45分の2/3以上(=30分以上)見た世帯は全体の18.9%、1/3以上~2/3未満(=15分以上30分未満)見た世帯は3.2%、1/3未満(=15分未満)見た世帯は9.0%、-方1分も見なかった視聴なし世帯は68.9%ということになります。同様に、日本テレビ「特命リサーチ200X-2」では2/3以上(=37分以上)見た世帯は全体の7.5%、1/3以上~2/3未満(=19分以上37分封耐見た世帯は5.7%、1/3未満(=19分未満)見た世帯は17.7%、視聴なし世帯は69.1%となります。「新選組!」と「特命リサーチ200 X-2」を比較してみると、1分以上視聴世帯(各視聴世帯の合音H釦はそれぞれ31.1%、30.9%と殆ど変わりませんがその視聴世帯の構成は大きく異なり、「新選組!」は2/3以上の長時間視聴世帯が多いのに対し「特命リサーチ200 X-2」は1/3未満の短時間視聴世帯が多いということが分かります。

【図表1】「新選組!」および日曜20時枠放送番組の視聴分数分布 <2004年2月1日><関東地区>

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 詳細なデータの見方は後述しますが、「視聴分数分布」は一言で表すと"番組の視聴時間によって視聴世帯(者)を分類し、その構成を表したもの"と言えるでしょう。つまり、全体を100として各視聴時間グループ(例えば番組を放送分数の2/3以上見たグループなど)にどれくらいの割合の人が属するのかという視聴者の構成割合です。通常、視聴者の構成割合というと男性20~34才が○%、女性20~34才が○%といった性・年代別の構成を表しますが、それを性・年代ではなく「番組を何分見たのか」というグループ(区分)に置き換えたものです。番組を長時間見るヘビー視聴世帯(者)あるいはちょっとしか見ないライト視聴世帯(者)などの存在度合が分かる分析手法です。

 また、「R&F」や「流入・流出」などが視聴判定により番組を1/3以上見た世帯(人)などと視聴世帯(者)を定義しその視聴世帯(者)のみの動向を探る分析手法であるのに対し、「視聴分数分布」は視聴判定の設定はなく、1分でも番組を見た世帯(人)つまり視聴率を構成する全ての視聴世帯(者)を全体把握することが可能な分析手法です。視聴判定により無視しなければならない視聴世帯(者)が出ないという点では他にはない有用な分析手法と言えます。

◆データ(集計結果)の見方

 それでは先ず「iNEX2-TV視暗率分析-特別分析(定型グラフ)-視聴分数分布」によりアウトプットされる集計結果の見方を整理してみたいと思います。

 【図表2】は、【図表1】(=2004年2月1日放送のNHK総合「新選組!」および同じ日曜20時枠放送各番組の「視聴分数分布」集計結果)に各指標の注釈を加えたものです。

 一般に「視聴分数分布」といっているのは「A」の各視聴分数区分に属するサンプルの割合です。これにより番組の見られ方を確認します。視聴分数の区分は「2/3以上」「1/3以上~2/3未満」「1/3未満」「視聴なし」あるいは「2/3以上」「1/3以上~2/3未満」「5分~1/3未満」「1~4分」「視聴なし」の2パターンが集計可能です。「B」は各番組(時間区分)における平均視聴率です。分析上の有効サンプルではなく、通常のGRPを基にした視聴率集計より算出されたものになります。「C」は1分以上視聴割合で1分以上視聴したサンプル数÷有効サンプル数×100 により算出されます。これは「視聴なし」以外の割合を足したもの、あるいは100-「視聴なし」に等しくなります(丸め誤差あり)。いわゆる"視聴の拡がり"を表すもので、どのくらいの人に番組が届いたのかを確認することができます。「D」「E」は「C」と対に使うもので、"視聴の深さ"を表すものです。「C」の1分以上視聴したサンフルにおいて平均何分番組を見たのかが分かります。「D」が平均視聴分数そのまま、「E」が放送分数に対するその割合になります。「C」の視聴の拡がりと「E」の視聴の深さをプロット図で対にして表したのが「拡がりと深さ」で、こちらもiNEX2-TV視聴率分析-特別分析(定型グラフ)の新規メニューとなります(「拡がりと深さ」についてはVideo Research Digest No.381 2000年3月号をご参照下さい)。

【図表2】iNEX2によりアウトプットされる「視聴分数分布」集計結果の見方

A;各視聴分数区分に属する世帯の割合(N=有効サンプル数)   、 レ

  →「2/3以上」「1/3以上~2/3未満」「1/3未満」「視聴なし」あるいは「2/3以上」「1/3以上~2/3未満」「5分~1/3未満」「1~4分」「視聴なし」の2パターン選択可能

B;平均視聴率

  → 各番組(時間区分)における平均視聴率(%)

  → 分析上の有効サンプルではなく、通常のGRPを基にした視聴率集計より算出

C;1分以上視聴割合(N=有効サンプル数)

  → =1分以上視聴したサンプル数÷有効サンプル数×100(%)

  →「視聴なし」以外の割合を足したもの、あるいは100-「視聴なし」に等しくなります(丸め誤差あり)

D;平均視聴分数(N=1分以上視聴したサンプル数)

  → =各サンプルの視聴分数の総和÷1分以上視聴したサンプル数(分)

  → 視聴状況を分布ではなく一つの数値として見たいときに用います

E;平均視聴時間割合

  → =平均視聴分数÷放送分数×100(%)

  → 番組の放送分数が異なる場合は一概に平均視聴分数では比較できないのでこちらを用います

※Cを横軸、Eを縦軸のプロット図で表したものが「拡がりと深さ」(こちらもiNEX2新規メニュー)になります

※複数日平均は各日の算出結果の単純平均になります(Bを除く)

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◆データを読むコツ―視聴分数分布の概念・意味するところ・注意点

 では実際に「視聴分数分布」データを読み込んで行きたいと思いますが、「視聴分数分布」も視聴率特別分析の一つであるため、データを読み込むには多少の"コツ"が必要となります。視聴分数分布の概念・意味するところを明らかにしつつ、注意点を述べたいと思います。

「視聴分数分布」とは、先にも述べたように視聴世帯(者)の 成割合を表すものです。分析名を言い換えれば「視聴分数による視聴世帯(者)構成割合」という感じでしょうか。つまり、番組がどのような視聴世帯(者)により構成されているのかを探るものです。それが性・年代別ではなく、放送の2/3以上だとか1/3未満だとかの"視聴特性"別になったもので、ヘビー・ミドル・ライト視聴世帯(者)の存在度合を確認することが出来ます。1番組1放送回につき1つの視聴分数分布結果が算出されますので、番組を管理する指標にも適しています。性・年代別の視聴者構成割合が"番組の質"を表すものと考えれば、この「視聴分数分布」もどの様に見られているのかを表す"視聴質指標"と考えられます。

 この「視聴分数分布」結果ですが、出てきた数字は確かに視聴分数区分別の視聴世帯(者)構成を表します。しかし、例えば2/3以上と1/3未満が同じ10%となった場合、視聴世帯(者)の数は同じ10%ですが、視聴率を構成する大きさ(影響度)は同じ10%ではありません。【図表3】は、【図表1】で算出した「新選組!」の視聴分数分布と「総視聴分数の構成」を比較したものです。「総視聴分数の構成」とは、各サンプルの視聴分数の総和を各視聴分数区分別の構成として表したものです。これをみると、2/3以上見た世帯は全体の18.9%ですが、彼らによる総視聴分数は全体の88.1%(=総視聴分数計5541分のうちの4882分)にも達します。1/3未満見た世帯は9.0%で2/3以上見た世帯の半分弱ですが、総視聴分数は僅かに3.8%でしかありません。このように、視聴率を構成する大きさは圧倒的に2/3以上見た世帯=ヘビー視聴世帯が大きくなります。「視聴分数分布」はあくまでも"視聴世帯(者)の構成割合"ですので、視聴率にそのまま結びつけることはできません。

【図表3】 「視聴分数分布」と「総視聴分数の構成」の比較

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 昼の時間帯に放送されている番組の性・年代別の視聴者構成害打合をみると、金投に男性が少なくなります。それは男性向けの番組が少ないということもあるでしょうが、そもそも男性は仕事等で外に出ていることが多く実際テレビを見ることができる時間ではない、ということに起因します。同じように、視聴世帯(者)の構成を表す「視聴分数分布」にもそもそもの傾向というものが存在します。【図表4】はそれをまとめたものです。

 「視聴分数分布」の構成が変わるのは、集計する番組そのものの特性による「内的要因」と放送されている枠環境による「外的要因」の大きく2つに分けられます。

 「内的要因」としてまず挙げられるのが「番組の放送分数」です。放送時間が短い30分番組などは拘束時間が短くかつ放送内容が凝縮されるためか、全般に視聴分数の長いヘビー視聴が多くなります。一方放送時間が長い120分番組などは拘束時間が長く裏局にチャンネルを切り替えるチャンスが増えるためヘビー視聴の割合は少なくなりますが、反面他の番組からチャンネルを切り替えてくれるチャンスも増えるためライト視聴の割合が多くなります。その他「番組内容」による傾向もあります。ドラマやアニメなどのストーリー系番組は視聴者を引き留める時間が長くなる傾向にありますが、バラエティやワイドショーなどのコーナー毎に番組内容が変わるものは部分視聴が多くなり、ライト視聴が増える傾向にあります。また、「高視聴率番組」はヘビー視聴が多くなる傾向にありますが、逆に視聴時間は短くても多くの人を引きつけるパワーを持っているという点でライト視聴も多くなります。

 「外的要因」としては、2つ挙げられます。1つは、HUTの変化する時間帯はテレビ自体のON・OFFにより物理的に部分視聴が増える。もう一つは、裏局の番組編成に変化が多い時間帯はチャンネル切り替えが増える傾向にある、ということです(全般に「内的要因」と「外的要因」では「内的要因」の影響の方が大きくなる傾向にあります)。

 その他注意点として、視聴率が数パーセントのような番組はそもそもの視聴世帯(者)数が少ないのでその構成をみる「視聴分数分布」は分析に適さない、世帯視聴率はあくまでも世帯合算での視聴行動を表すものなので、チャンネル切り替えがそのまま視聴データに反映されているとは限らない、等が挙げられます。

【図表4】「視聴分数分布」における そもそもの傾向

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 注)「内的要因」の方が「外的要因」より影響は大きくなります。矢印の太さが影響度の大きさを表しています。

 注)視聴率が数パーセントのような番組は、そもそもの視聴世帯(者)数が少ないのでその構成をみる「視聴分数分布」は分析に適しません。

 注)世帯視聴率はあくまでも世帯合算での視聴行動を表すものですので、チャンネル切り替えがそのまま視聴データに反映されているとは限りません。

◆データを読んでみる

 それでは、【図表1】で算出された2004年2月1日放送のNHK総合「新選組!」および同じ日曜20時枠放送各番組の「視聴分数分布」集計結果(特性は世帯)を読み込んでみたいと思います。ところで、本来、視聴率分析は複数の分析結果を合わせて番組の見られ方などを探っていくものです。「視聴分数分布」は、「毎分視聴率グラフ」と組み合わせるとより深くデータを読むことが出来ます。【図表5】は【図表1】と同じ条件で毎分視聴率グラフを集計したものです。ここではこの2つの分析結果を使って、データを読み込んでいきたいと思います。

 まず「新選組!」ですが、ドラマであるのでヘビー視聴世帯は多くなる傾向にあります。

毎分グラフをみると右上がりに推移していますので、ヘビー視聴世帯は最初から見ている、ライト視聴世帯は途中から見に来ているということが分かります。次に「特命リサーチ200X-2」ですが、コーナーごとに取り上げるテーマが変わる番組ですので、部分視聴つまりはライト視聴世帯が多くなります。毎分グラフをみると放送開始直後に視聴率が低下していますので、前番組から流れてきた視聴世帯がライト視聴世帯にもなっているようです。また「ジャンクSPORTS」は、バラエティ番組であり毎分グラフの変動も大きく部分視聴(ライト視聴)が多くなっていると考えられます。テレビ東京「日曜ビッグバラエティ・刑務所物語」は、放送時間が114分と長いためライト視聴が多くなっていると考えられますムまた毎週放送内容の変わる枠であるため、内容確認でチャンネルを少しだけ合わせた人もいるかもしれません。

 このように、各番組の特性からそもそものデータ傾向を加味し、データを読み込んでいきます。そして時系列あるいは性・年代によるデータの変化を観察し、以後の番組作りあるいは視聴傾向の予測に役立てることが出来ます。

【図表5】 「新選組!」および日曜20時枠放送番組の毎分視聴率グラフ <2004年2月1日><関東地区>

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◆最後に...

「視聴分数分布」は、分析手法としては昔からあるものですが、番組がどのように見られているのかを表す"視聴質指標"と考えることもできる非常に有用な分析です。この度「iNEX2」におけるテレビ視聴率特別分析の新規メニューとして集計可能となりました。是非広く皆さまにご活用頂くために、今回分析手法のご紹介をさせていただきました。

 今後も「視聴率」をより有効にご活用頂くために"データを読むコツ"をまとめ、皆さまのお役に立てるよう努力して参りたいと思います。

(メディアリサーチ事業局 テレビ調査部 長島英樹)

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