視聴率実践講座 ~ その3 ~リーチ&フリークエンシー分析(1)

VRDigest編集部
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※本記事は1997年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

第1章 リーチ&フリークエンシー分析

前号のプロローグで紹介させていただいた「視聴分数分布」がいわゆる基本中の基本の分析ということになりますが、今回は、番組のリーチ&フリークエンシー(Reach&Frequency)分析について紹介させていただきます。リーチ(Reach)の日本語訳はご承知のように累積到達率です。一般的な意味としては、「いくつかの媒体を組み合わせたり、広告の反復露出を行った結果得られる累計された到達率」として定義されています。

番組分析では視聴判定した数値をまず「到達率」と標記して、視聴率とは違う意味合いの数値であることを示す必要があります。テレビ視聴率分析における番組の累積到達率は、「複数以上の番組時点を対象にして、番組の長さに対し、ある-定の視聴判定条件を1回以上満たした世帯(人)の比率」ということになります。フリークエンシーも一般的には広告の接触頻度ですが、番組分析においては「番組の視聴回数」となり、平均、分布であらわして使用します。

さて、番組のR&Fを施すにあたって必要な予備知識のご紹介になります。

■データ分析上の基本的な4つのポイント

 番組を分析したときに、異なる比率の数字が出てくることがあります。それは次の4つの要因によるものです。

 A. 視聴判定のレベル

 B. 視聴形態条件

 C. データの有効無効条件

 D. 分析対象期間の違い

 

A、B、Cについては分析入力者側が目的に応じて任意に設定でき、コントロール可能なものです。しかし、Dについてはサンプルのローテーション等によるもので、それぞれの分析期間内で正しい数値と判断していく性質のものです。

A.番組の視聴判定(視聴の深さの設定)

 <番組平均世帯視聴率との比較>

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番組について、累積到達率・平均視聴回数を算出するにあたっては、番組を"見た""見ない"の判別が必要となりますが、これを「視聴判定」と呼んでいます。

放送分数が30分の番組であれば、30分全部見ている世帯(人)もあれば、1分しか見ていない場合もあります。通常"視聴率"と呼ばれている番組平均世帯視聴率は、これらすべての"視聴世帯側の番組の見方"を平均して算出している数値ということになります。番組の放送分数が30分であれば30種類、54分番組であれば54種類の番組に対する視聴判定のレベルが存在しうるということになります。

 視聴者側の番組への接触実態は様々ですが、基本的には番組のタイプによって左右されることが多くなっています。番組に対する視聴の実態を見極めた上で、分析対象番組に対してふさわしい分析管理指標となる視聴判定のレベルを設定して下さい。

<-般的な番組視聴判定の基準>

視聴判定1/3レベルで分析するケースが過去も現在も多いようです。視聴判定1/3レベルの到達率が番組平均世帯視聴率の数値に近いので、"見やすい"数値であるというのが最も大きな理由です。

視聴判定の種類がバラバラ過ぎると、データを使う側で混乱を招くことは必至です。放送枠に対して右記のような条件で視聴分数の分布を規定し、視聴判定条件として時系列で管理していくのが良いと思われます。

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 条件の中に「放送枠一5分以上」というのがありますが、これはテレビのリモコンスイッチの普及に対応するために完全視聴の条件を緩和したものです。

B.視聴形態 ~継続視聴・断続視聴~

 視聴判定を1/3以上と決定しても、その視聴形態は2通りあります。1つは「継続視聴」といって、途中で1回もチャンネルを切り替えずに、続けて視聴することを条件とするもの。もう1つは「断続視聴」といって、視聴分数の合計で視聴判定条件を満たせばよいとするものです。リモコンテレビがあたり前になった現在ではチャンネルのフリッピングが多いので、「断続視聴」条件を使うのが一般的です。

C.データの取り扱い ~標本の有効無効~

<累積到達率・視聴回数データ>

1か月・3か月といった長期間にわたるR&Fの分析の場合についても、ローテーション世帯と当日無効世帯を除いた形で行うのが理想なのでしょうが、現実にはデータとして使いにくくなることがあります。ローテーション世帯については、同-サンプルの視聴の継続性を見るというR&Fの性格上、分析対象から除外せざるを得ませんが、当日無効を全て除外した場合、分析が長期にわたるほど世帯全体の母数の目減りが大きくなり、世帯特性別・個人特性別などの分析が困難となります。よって、1か月以上にわたるR&F分析は、条件を明記の上でローテーション世帯のみ無効として分析することが多くなっています。

なお、Dの分析対象期間の違いについては、来月号でご紹介したいと思います。

■具体例 ~毛利元就~

 では、実際に「毛利元就」を例に、R&F分析を施すことによってどんなことが判るのか、またA~Cの視聴条件の違いによって数字にどのような変化が起こるのかを見ていくことにしましょう。

 図1(18ページ参照)は、「毛利元就」の累積到達率(リーチ)の推移です。条件Aの視聴判定は1/3以上、条件Bは断続、条件Cはローテーション世帯のみ無効としてあります。この図から、第一回目の放送は「世帯全体では有効標本の26.9%の世帯が、番組をトータル(視聴分数の合計)で1/3以上見た」ことになります。放送開始から3か月が経過した3月30日の放送時点においては、「世帯全体で有効標本の53.2%の世帯が、分析対象期間内に番組の長さの1/3以上トータルで見たことがある」と言うことになります。その3か月間に何回見たのかをあらわすのが、図2の視聴回数(フリークエンシー)分布です。こちらの視聴条件も図1のものと同じです。「世帯全体で有効標本の7.2%の世帯が、3か月間番組をトータルで番組の長さの1/3以上毎回(13回)見た」ということがわかります。

また、特性間の比較によっても番組の視聴傾向を推測することができます。

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次に、A~Cの視聴条件の違いによって同じ累積到達率(リーチ)がどのように変化するのか、図3を見てみます(図3~5は19ページ参照)。図1において世帯全体で53.2%であった累積到達率は、A~Cの視聴条件の組み合わせによって8通りの数字が集計されます。Aの視聴分数の条件を厳しく(視聴時間を長く)あるいはBの視聴形態を「継続」にすれば、当然累積到達率は低下します。また、Cの標本有効条件を「完全有効」にすれば母数が減るので、見かけ上累積到達率は上がります。視聴回数の平均値をあらわす平均視聴回数(図4)、到達率の平均値をあらわす平均判定到達率(図5)も同様の傾向を示します。

                            

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(本社 テレビ調査部 加納永一)

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