一度見始めると長くなるCS・CATVの視聴(rvcs調査・ACR/ex調査)実態

稲垣 圭亮
テレビ事業局 テレビ調査部
稲垣 圭亮
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 動画コンテンツを視聴できるメディアが、以前に比べてものすごく増えているのは皆さんもお感じになっているのではないでしょうか。数十年前であれば視聴できるメディアは地上波テレビだけでしたが、今はBS・CSはもちろんのこと、ネットでの動画視聴も当たり前となってきています。ネット動画ひとつとってもパソコンだけではなくスマートフォン(以下スマホ)でもみることができるようになり、アプリの進化と相まってむしろスマホでの視聴が主流になっています。このように様々なメディアやデバイスで動画を視聴できるようになってきていますが、それぞれ視聴のされ方には特徴があります。今回は、「一度見始めると平均してどのぐらいの時間を見続けるのか?」という観点から、各メディア・デバイスを比較してみたいと思います。

継続視聴時間はメディアによって異なる- ACR/exより-

 各メディアでの接触状況を比較可能な「ACR/ex」調査から、視聴行動を開始してその行動をやめるまでの平均時間(以下、継続視聴時間)を算出しました。平日の代表として月曜日、休日の代表として土曜日の結果を【図表1】に示します。地上波は月曜が1時間42分、土曜が1時間54分と休日のほうが12分長く、休日の視聴時間が長くなる傾向がみてとれます。他メディアでも同様の傾向です。しかし時間の長さを比較すると、各動画コンテンツメディアで特徴があらわれていることがわかります。

地上波に比べて目立って継続視聴時間が短いのが「ネット動画(スマホ)」です。ネット動画(スマホ)は月曜が1時間13分、土曜が1時間19分と地上波民放に比べて30分以上継続視聴時間が短い結果でした。Web動画コンテンツは、1本が地上波の番組に比べて短い傾向ということもあり、納得しやすい結果です。

一方、地上波に比べて継続視聴時間が長いメディアが、CS・CATVです。月曜が1時間52分、土曜が2時間11分で、土曜では唯一2時間を超える視聴継続時間でした。趣味性や視聴者の嗜好性がより強いCS・CATVでの放送コンテンツは、一度見始めると長時間視聴が継続する特徴があるようです。

【図表1】各動画メディアの継続視聴時間比較

paytv01.png

(ACR/ex、東京50km圏、2017年4-6月度、個人全体(男女12-69歳))

一挙放送による視聴の継続性-RVCSより-

ではCS/BSペイテレビについてより詳細に分析するために、機械式ペイテレビ接触率共同調査のデータをみてみます。機械式ペイテレビ接触率共同調査は、CS/BSペイテレビの視聴状況を機械で測定している調査です。2018年4月より世帯データ年52週提供、調査エリアを全国5地区に拡大するリニューアルを行います。「RVCS」というアプリケーションを通じて、コンテンツごとの見られ方や視聴データに加えてアンケート結果を軸とした集計・分析も可能です。

前述した「一度見始めると深くみてしまう」というキーワードに合致するCS・CATV独特の放送形態である「一挙放送」を「RVCS」のデータからみていきます。今回は、視聴の継続率を算出しました。継続率とは、前の時間帯で視聴していた人が当該の時間でどの程度視聴を継続しているのかをみる指標です。ではFOXで放送された海外ドラマ「24」の一挙放送の例を、【図表2】に示します。これをみると、ところどころ継続率が100%になっています。これは、前の1時間で視聴していた人が全員、次の1時間でも視聴していたことを示します。一挙放送だと、「一度見始めると次が気になってなかなか視聴をやめられない」「その先がすぐに放送されるのでつい見てしまう」というように、継続を喚起しやすい放送形態であることがわかります。

 この傾向は、ドラマ「24」に限って見られる結果ではありません。一挙放送スタイルで放送されるコンテンツではジャンルを問わず継続を喚起しやすいことが、RVCSの別の分析でも示されています。ドラマに限らず、例えばスポーツなどで、300分を超えるコンテンツがCS・CATVで放送されています。地上波に比べて趣味嗜好性が強いCS・CATVは、より長尺のコンテンツとの親和性が高いという特徴があるといえます。

【図表2】FOX「24」視聴の継続率

RVCS2.0 集計期間 :2015/12/13(日) 集計種類 :世帯集計 集計母数 :全体サンプル数:600 

標本有効条件 :1日以上有効 集計時点数:24 絞込み条件 :なし 判定条件 :5分以上 ターゲット :対象 全体

paytv02.png

 今回は、1回あたりの視聴継続の観点から、動画コンテンツメディアを比較しました。「CS・CATVは視聴継続性が高い」という結果は、趣味嗜好性が強いCS・CATVのメディア特性とも一致する結果です。CS・CATVは数多くの魅力的なコンテンツが、幾多の専門チャンネルに散りばめられたメディアです。それを目指して熱量の高いターゲットが集まって長時間接触している事実は、広告の観点からも、そのエンゲージメントの強さが容易に想像されます。CS・CATV上での広告接触によってもたらされる態度変容力の強さにも期待が持てそうです。

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