2025年を振り返って思ったこと。

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#STREAMO #時事 #視聴率
2025年を振り返って思ったこと。

はじめに

2025年は、放送100年、戦後80年という大きな節目の年となりました。この1年は、社会全体が良くも悪くも"異なる局面"に到達したのではないかと感じさせるのと同時に、特に情報やメディアに関しては、様々な課題が噴出し、その在り方が問われた年であったように思います。

日経平均株価が史上最高値を更新し、初の5万円台を突破しました(10月)。一方で、円安や物価高、さらにはコメ不足による価格高騰など、生活に大きく関連する部分については、生活者にとって必ずしも楽になったわけではない状況が続いています。

国内の政治状況では、参議院議員選挙で自民党・公明党が大敗して過半数割れとなり、参政党や国民民主党が議席を伸ばしました(7月)。同時に、SNSや動画サイトをはじめとしたインターネット上の政治関連の話題や関心が、実際の投票行動に結びつくようになったことを印象付ける出来事でもありました。その後、石破首相は退陣を表明し(9月)、高市内閣が発足しました(10月)。この過程で、公明党が26年にも及ぶ連立から離脱し、自民党は日本維新の会と連立を組む形となったのは、政治的に大きな変化を伴ったものであり、"異なる局面"になったと言えます。また、宮城県知事選(10月)ではネット上の中傷やデマ情報が噴出し、私たちが今まさに直面している情報やメディアをめぐる大きな課題が浮き彫りとなりました。

海外に目を向けると、アメリカではトランプ大統領が就任し(1月)、中東やウクライナの問題をはじめ、国際的な問題への新しい形での関与の動きを活発化しています。そんな中、日中の関係悪化(11月)によって、日本人アーティストの中国公演が中止になる、中国人観光客の日本への渡航が自粛となるなど、人と文化の交流を中心に現在進行形で影響が出ており、東アジアの情勢も楽観視できない状況です(12月中旬執筆時点)。

ポジティブな話題では、10月に無事閉幕した大阪・関西万博の総来場者数は2,900万人(関係者含む)に達し、多くの課題は挙げられたものの成功であったと言えます。また、基礎研究分野の予算の厳しさなどの話も散見される昨今ですが、日本人がノーベル賞(生理学・医学賞、化学賞)を受賞(12月)したことは非常に喜ばしい出来事でした。

さて、そんな1年は、メディア業界にとってはどんな年だったのでしょうか。恒例により、放送・通信・ITまわりを見渡して【10大トピックス】を挙げて振り返ってみます。

放送・通信・IT まわりの2025年 10大トピックス

1.日本の広告費は7兆6,730億円で、3年連続過去最高。地上波テレビは前年比101.6%

2.2025年の高視聴率番組もスポーツが上位を占め、MLB開幕戦がトップ

3.ビデオリサーチのテレビ・動画・映像コンテンツ指標への取り組み

4.読売中京FSホールディングス(FYCS)設立

5.BS4Kからの民放局撤退検討の報道

6.TVer10周年、radiko15周年、生活者に浸透

7.フジテレビがアドレッサブルTV広告技術とフェイク広告対策技術を実証

8.ブランド毀損リスクの回避行動とメディアのブランドセーフティへの注目

9.生成AIの生活者への浸透が進む

10.猛暑によるメディア利用の変化が過小評価できなくなる時代へ

日本の広告費は7兆6,730億円で、3年連続過去最高。地上波テレビは前年比101.6%

電通「日本の広告費」によれば、2024年の地上波テレビ広告費は1兆6,351億円、前年比101.6%でした。

番組(タイム)広告費は、パリ2024オリンピック・パラリンピックなどの大型スポーツ大会や各種イベントの開催に伴い好調に推移したものの、令和6年能登半島地震による被災や、不透明な世界状況、物価・人件費高騰などの影響で、前年を下回っています。スポット広告費は、半導体不足の解消などにより「自動車・関連品」が復調したほか、インバウンド需要などの活性化を受けた「薬品・衣料品」「化粧品・トイレタリー」や、コロナ禍からの回復により外出・行楽需要の高まりを追い風に「交通・レジャー」が好調に推移し、前年を上回っています。衛星メディア関連は通信販売市場が堅調に推移し、1,254億円と前年をわずかに上回りました。

インターネット広告費は、3兆6,517億円 前年比109.6%で、動画広告を中心に成長したことで、総広告費に占める構成比は47.6%に達しています。インターネット広告媒体費は、 2兆9,611億円で前年比110.2%となり、見逃し無料配信動画サービスでのスポーツのライブ視聴の増加などを背景に「テレビメディア関連動画広告費」が653億円で前年比147.4%と前年に続いて大きく増加しています。

日本の広告費(総広告費)は、インターネット広告費によるけん引を経て2022年に7兆円台に到達してからも堅調に伸び続け、2024年は7兆6,730億円 前年比104.9%と、3年連続で過去最高を更新しました。

【出典・参考資料】
2024年 日本の広告費 https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0227-010688.html

2025年の高視聴率番組もスポーツが上位を占め、MLB開幕戦がトップ

毎年、執筆(12月7日)時点までのデータなので紅白歌合戦は対象から外れてしまいますが、2025年の高視聴率番組(関東地区・個人全体・リアルタイム)をみると、上位10番組中8番組がスポーツ・スポーツ関連となっており、2025年も前年に引き続きスポーツが上位を占めています。

具体的には、「MLB開幕戦2025・カブス×ドジャース」の初戦・第2戦や「MLB開幕戦2025プレシーズンゲーム・巨人×ドジャース」がまず上がります。ドジャースでは今シーズン二刀流復活の大谷翔平に加え、山本由伸、佐々木朗希、カブスでは今永昇太と、日本人スター選手への大きな期待感が高視聴率を生み出したと言えます。そのほかに、「第101回東京箱根間往復大学駅伝競走」(往路、復路)、「東京2025世界陸上」、「2026FIFAワールドカップアジア最終予選・日本×バーレーン」がランクインしています。また、上位10位以内には、「芸能人格付けチェック!2025お正月スペシャル」「24時間テレビ48 -愛は地球を救う PART10」といった毎年定番の高視聴率番組が並び、この顔ぶれは今年も盤石な結果でした。

リアルタイム+タイムシフトの総合視聴率を30位まで広げてスポーツ以外に注目すると、「連続テレビ小説・あんぱん」「日曜劇場・キャスター」「連続テレビ小説・ばけばけ」「日曜劇場・御上先生」「べらぼう・蔦重栄華乃夢噺」「日曜劇場・ザ・ロイヤルファミリー」「金曜ロードショー・君たちはどう生きるか」「日曜劇場・19番目のカルテ」「世界の果てまでイッテQ!春の2時間SP」といった番組がランクインしています。

ビデオリサーチのテレビ・動画・映像コンテンツ指標への取り組み

テレビ番組や映像コンテンツを統合的に計測し、その価値を示すことへの業界のニーズは高まり続けています。当社でも、今年も引き続き、様々な取り組みで指標拡充を進めてまいりました。

10月に、自宅内におけるTVerやYouTubeなど動画配信プラットフォームの利用実態を把握できるサービス『STREAMO(ストリーモ)』を全国32地区で提供開始いたしました。インターネットに接続されたテレビだけでなく、接続されていないテレビも含め、日本国内におけるコネクテッドTV(以下、CTV)の利用状況を偏りなく把握できるものとなっております。また、CTV上で配信される広告の接触状況も測定した『CTV広告データ』も同月からスタートしております。

さらに、日本および世界各国のSVOD(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド=定額で視聴できる動画配信)視聴実態をコンテンツ単位で把握できる『SoDA』(Streaming On Demand Analytics )を日本市場で本格提供開始いたしました(7月)。コンテンツやプラットフォームの盛り上がり、ユーザーの視聴行動変化の可視化を進め、SVOD市場に寄与するデータの提供を進めてまいります。

そして、当社は今年、REVISIOとの資本業務提携もいたしました(6月)。今後、視聴率をはじめとする「視聴量」を示すデータと、REVISIOのアテンション計測による「視聴質」を組み合わせることで、より効果的なデータソリューションを業界の皆様に提供することを目指してまいりますので、よろしくお願いいたします。

読売中京FSホールディングス(FYCS)設立

4月に、日本テレビ系列の読売テレビ、中京テレビ、福岡放送、札幌テレビの4局が経営統合し、認定放送持ち株会社である読売中京FSホールディングス(FYCS)が設立されました。

10月に行われた当社主催ビジネスフォーラム「VR FORUM 2025」のセッションにおいて、FYCS石澤社長から経営戦略の軸として「スケールメリット」と「シナジー」の両立が語られました。4社の経営資源を合わせて個社で実現できなかった挑戦に踏み出せるようになり、また、コンテンツ制作ではすでに朝帯・夕方帯の生放送番組でのコラボレーションや共同セールス番組の制作も実現したといいます。「編集制作」「営業」「技術DX」といった6つのプロジェクトを4社横断的に立ち上げ、施策を推進していることもセッションでは語られました。

今後のローカルエリアにおける放送局の在り方とビジネスを見据えて、"新しい放送局モデル"として業界の注目を集めている出来事と言えます。

【出典・参考資料】】
VR Digest + FYCSの目指すカタチとは?【VR FORUM 2025】 https://www.videor.co.jp/digestplus/article/media251125.html  

BS4Kからの民放局撤退検討の報道

2025年はBSデジタル放送25周年の年でした。そんな中、民放局がBS4K放送から撤退を検討しているという報道が10月にされました。現時点では報道ベースの話ではありますが、一方で、国策として進められてきたBS4Kについては、様々な議論が行われていることも事実です。

BS4Kは大画面のデジタルテレビでの視聴を前提としていますが、スマートフォンの普及、コロナ禍での動画視聴行動の拡大によって、単純な「大画面で高画質」な映像視聴のニーズは頭打ちの状態が続いている状況です。また、BS4K独自のコンテンツも限られる中、視聴者の多種多様なテレビ番組・コンテンツへのニーズについては、CTVと動画配信サービスの普及が、そのニーズを満たす役割の中心を担いつつあります。

総務省のデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会 衛星放送ワーキンググループでは、11月14日から12月3日までの間、パブリックコメント(意見募集)を実施しました。そこで対象となっている「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会 衛星放送ワーキンググループ 第二次取りまとめ(案)」の中でも、"高画質という一つの特徴のみでの差別化は困難となり、4K 放送について「高画質だから見られる」と期待することはできない"という指摘もされています。

免許更新時期に向けて、各局の動向や同ワーキンググループでの議論に注目が集まりそうです。

TVer10周年、radiko15周年、生活者に浸透

2025年はTVer10周年、radiko15周年の年でした。TVerは10月に月間動画再生数が5.4億再生で過去最高を記録し、radikoも月間ユニークユーザーは現在850万人、有料会員数は100万人という規模になっています。当社調査データ(※)をみても、3カ月以内利用率がTVerで32%、radikoで17%となっており、着々と浸透していることがうかがえます。また、放送法改正に伴い、NHKもインターネットサービスが必須業務となったことで新たに「NHK ONE」をスタートさせています(10月)。

テレビとラジオでは "放送と通信の融合"が進んでいる状況ですが、生活者(視聴者・リスナー)視点で言えば、スマートフォンやCTVといったデジタルデバイスで何を見聞きするか、すなわちコンテンツへの意識がさらに高まりやすい環境になってきているようにも思えます。一方で、アプリの競争という側面からみると、YouTubeやInstagram、TikTok、LINE、さらには星の数ほどあるスマートフォンのゲームアプリなども競合となります。メディアとして、生活者から時間をどのように獲得するのか、放送とは違った戦略がこれから必要になる時代かもしれません。

※ACR/ex(2023年4-6月、全国7地区、12-69才個人全体)

フジテレビがアドレッサブルTV広告技術とフェイク広告対策技術を実証

フジテレビは6月に、テレビ放送で受信機ごとに個別のCMを提供する「アドレッサブルTV広告技術」の実証に成功したと発表しました。これは、放送番組を視聴中にCM部分だけを受信機に合わせた個別のデジタル動画広告に差し替えることで実現したもので、日本のテレビ放送で実現したのは初めての事例となります。今回は、受信機に設定された郵便番号にもとづいて、地域ごとに異なる自社CMを放送しています。

ターゲティング広告が主流のデジタル広告に対して、現状のテレビCMのターゲティングの限界はしばしば議論されてきました。このフジテレビによる「アドレッサブルTV広告技術」とその実証は、テレビCMの次の可能性につながるものと言えます。

また今回の実証では、広告主情報や考査情報を視聴者に明示し、暗号技術で真正性を持たせられる「フェイク動画広告対策」の技術実証も同時に行っています。近年、生成AIの浸透により、デジタル広告の中にはAIを用いたフェイク広告がしばしばみられるようになりました。アドレッサブル広告としてテレビCMがデジタル動画広告へ差し替えられ、なおかつ技術的対策によって質が担保された広告を表示できるようになれば、それはテレビCMの価値を支える重要な要素になると考えられます。

ブランド毀損リスクの回避行動とメディアのブランドセーフティへの注目

冒頭で触れたように、今年は情報やメディアに関しては、様々な課題が噴出し、その在り方が問われた1年であったように思います。2024年末の週刊誌報道に端を発したフジテレビの問題では、メディア企業における人権・ガバナンス対応が問われ、広告出稿が控えられる事態となりました。これは企業のブランド毀損を避けるためのリスク回避行動の文脈や、近年指摘されている「ブランドセーフティ」の文脈でも議論が可能ではないかと思います(該当するかは別の問題ですが)。

「ブランドセーフティ」については、6月に総務省が発表した「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」において、デジタル広告におけるリスクの一つに「ブランドセーフティに関するリスク(ブランドの毀損)」が挙げられています。このガイダンス自体はデジタル広告に対するものではありますが、テレビをはじめマスメディアにおいても同様の問題が起こる可能性も含めて議論や検証が行われています。

昨年(2024年)になりますが、筆者は「テレビカンファレンス2024」において、テレビCMの強みについてブランドセーフティの観点からの検証調査を行った結果について発信する機会を頂きました。またビデオリサーチひと研究所でもブランドセーフティをテーマとした研究発信を続けています。

今日的な視点でテレビCMの価値を検証し示すうえで、ブランドセーフティの概念はより重要になってきていると考えられます。

生成AIの生活者への浸透が進む

今年は生成AIが生活者に広く浸透した年でした。生成AIは日常生活の中でも接することがすっかり増え、例えばGoogle検索の結果では最初に「AIによる概要」が表示され、生成AIによるとみられるイラストがゲームや広告などに使われることも増えてきました。今やスマートフォンのアプリとして誰でも簡単に利用できるため、個人利用も盛んになってきている状況です。その最も象徴的な出来事であったのが、今年の新語・流行語大賞にChatGPTの愛称である「チャッピー」がノミネートされたことと言えます(11月)。

当社の生活者シンクタンク「ひと研究所」では毎年、生活者の次の意識や行動の変化の兆しを見つけるための定性的な調査を行っており、この数年、生活者の生成AIの活用事例に注目しています。ここでも変化がみられており、2~3年前は「テキスト生成の道具」として使われている傾向でしたが、2024年の調査では「話し相手」という使われ方が挙がりました。まさに、身近な会話の相手、相談相手として利用されているからこそChatGPTに「チャッピー」という愛称がつけられ広まったと言えます。

また、情報源、情報検索ツールとしても生成AIが使われるようになってきており、「マスメディア」「ネットメディア」に「生成AI」が第三極として加わる日が近いのではないかと考えられます。すると、生成AIが嘘をつく「ハルシネーション」による悪影響が、今以上に大きな問題となることが危惧されます。

猛暑によるメディア利用の変化が過小評価できなくなる時代へ

2025年の夏は、記録的な猛暑でした。6月~8月の平均気温がこれまでの記録を大幅に上回り、1898年の統計開始以降で最も高い年となりました。個別の最高気温の歴代ランキングをみても、1位の群馬県伊勢崎市(41.8℃/8月)をはじめ、5位までが今年の気温が占めています。

このように夏が"災害級"に暑くなることは、生活者の生活行動、そしてメディア利用に影響を与える可能性があります。例えば社会生活の面では、猛暑で外出を控える人が増えると考えられます。すると、娯楽としてのテレビや動画視聴が増加することは容易に想像がつきますし、メディアを利用したオンラインによるコミュニケーションが重要な位置を占めるといった想定できます。

この想定がリアルなものとして感じられる、あるいは既視感があるのは、我々の社会がコロナ禍とそれによる生活やメディア利用の変化を経験しているからです。すでに、コロナ禍によって"リモート"のインフラは整備され、仕事や学校は"ハイブリッド化"を経験し、在宅勤務や大学のオンデマンド講義は定着している状況です。この前提があるため「暑すぎるから外出自粛」ということが冗談ではなく現実的な手段として想定できます。またそれは、すでに「熱中症警戒アラート」とそれに伴う外出や子供の外遊び自粛という形で起きているとも言えます。

メディア利用は生活行動に依拠しており、本来その生活行動の変化は徐々に起きるものです。しかし、コロナ禍という"歴史的な疫病の流行"は生活者に対しての大きな外圧として強制的に行動を変えさせ、それがSNSや動画の幅広い普及につながりました。この文脈を踏まえると、コロナ禍による変化を知っている我々は、"災害級の暑さ"がメディアに与える影響を過小評価はすべきではないと考えます。

2026年に向けて

冒頭にも触れましたが、2025年は放送100年の年でした。11月の第73回民間放送全国大会で、民間放送連盟の早河会長は「民主主義」という言葉が含まれる法律である放送法を引き合いに出し、「市民が政治に参加するための情報を提供する義務」が放送メディアにはあると語りました。今まさに、この民主主義を支えるための情報源をどのように確立するかという文脈で、社会は大きな岐路に立たされています。

2025年の情報空間では、参議院選挙をはじめとする政治や選挙に関する場面で、不確かな情報や、嘘、デマなどが大きな問題として噴出し、「エコーチェンバー」「フィルターバブル」といった現象の問題点が頻繁に指摘されるようになりました。一方で、その不健全性に対応したいマスメディア自身も、そのガバナンスの問題を問われ、生活者の「メディア不信」をぬぐい切れない状況が続きました。このメディア不信も相まって、「オールドメディア」というワードが昨年から言われるようになり、今年は新語・流行語大賞でも取り上げられるに至りました。この状況をながめていると、生活者の階層の分化が進む中で、マスメディアを"対抗すべき古い権力"として見なしている層が少なからず存在しているようにみえます。この層が支持し好む言説がデジタルメディアに組み込まれたパーソナライズ機能によって「エコーチェンバー」「フィルターバブル」を作り出し、その中で人はメディア不信を強め、さらに政治的な行動に結びつく段階になったのが2025年であったかもしれません。2026年も混沌状況が続くと考えられますが、情報の正確性だけではない、メディアとしての生活者への共感や寄り添いが「メディア不信」を払しょくする鍵なのではないかと感じられます。

コンテンツの文脈では、2026年はミラノ・コルティナ冬季五輪、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、サッカーW杯など、引き続きスポーツの盛り上がりが予想されます。近年の高視聴率番組の多くはスポーツ中継が占めてきており来年も期待できますが、WBCがNetflix独占生配信となったことは何らかの影響が予想されます。日本代表の試合がテレビで放送されなくなることで、テレビの視聴行動あるいはスポーツイベントへの興味関心の在り方などに変化が起きる可能性が考えられ、メディア業界が注目するイベントになるかと思います。

最後に、6年ぶりにリアル会場で2日間にわたり大規模に開催しました「VR FORUM 2025」へは、多くの方にご参加を頂き、ありがとうございました。改めまして御礼申し上げます。
本年も大変お世話になりました。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。

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