「ITPとは? Cookieが活用できなくなるかもしれない世界の動きを知る」今さら聞けない!基本の『キ』

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「ITPとは? Cookieが活用できなくなるかもしれない世界の動きを知る」今さら聞けない!基本の『キ』

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日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。
皆さんも、毎日のように各社から発信されるニュースで最新情報をキャッチアップしたり、実務上デジタルマーケティングに関わることも多いかと思います。
このコーナーでは、皆さんがニュースや業務で触れるデジタルマーケティングに関する多くのサービスで頻繁に目にする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ない「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。

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chinamini.PNG本記事をお読みいただく前に、過去掲載の以下の記事をご覧いただくとより理解がスムーズになります。
Cookieとは?
1st party Cookieと3rd party Cookieの違い

Cookieの使用が規制され始めている

先日VRDigest plusに公開した記事「1st party Cookie と 3rd party Cookieの違い」では、外部の第三者企業がサイト横断的に発行・管理する 3rd party Cookie の使われ方について、ブラウザ「Safari」を提供する米Apple社がSafariの機能として「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」を2017年9月に搭載スタートさせ、 3rd party Cookieの活用に厳しい制限をつけるなど、世の中的に3rd party Cookieの利用には変化が起きつつある・・・と触れました。
ブラウザ「Safari」といえば、皆さんご存知の通りスマートフォン「iPhone」を購入するとあらかじめインストールされているブラウザです。
そして、特に日本はiPhoneユーザーが多い国として知られています。
当社の大規模生活者データベース「ACR/ex」によると、スマホ所有者の約2人に1人はiOSを利用しており、特に若年層での利用が顕著です。よって、Safariの機能の追加・変更に関するニュースは日本のインターネット業界関係者にとって、大きなトピックスであるといえます。

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ITP="賢く追跡を阻止する仕組み"

では本題です。ITPとはどんなものなのでしょうか。そのまま日本語に訳すと以下のようになります。
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一言で表すと「賢く追跡を阻止する仕組み」、と言ったところでしょうか。
iPhone 上では、設定画面からSafariを選択した際に出てくる「サイト越えトラッキングを防ぐ」と書かれた項目がそれにあたります。
「賢く」と「阻止する仕組み」は言葉の意味として、誰でもすぐに理解できますが、「追跡」とは何のことを指しているのでしょうか。
「追跡」には、3rd party Cookieが大きく関連してきます。

追跡=あなたの複数のサイトでの"閲覧"履歴を、第三者が営利目的で使用すること

たとえば、りさ子さんという女性が、スマホでウェブサイトを見ているときに以下のような経験をしたとします。

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皆さんも同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか。
りさ子さんが昨日の夜見たのは「みかんショッピング」、今朝見たのは「VRニュース」と、それぞれのサイトの運営会社は別です。
サイトの運営会社が別なのに、サイト閲覧履歴に基づいた広告が表示される裏には3rd party Cookieの存在があります。

サイト閲覧履歴に基づいた広告が表示される仕組み
りさ子さんがスマホのブラウザから「みかんショッピング」にアクセスした際、サイトに設置された『広告配信事業者A』のタグが発火します。
このタグにより、A 社が当該ブラウザに3rd party CookieおよびCookieIDを付与することができます。
これにより、りさ子さんがその後A社がタグを設置している広告配信可能なウェブサイトにアクセスした際に「このCookieIDは昨夜「みかんショッピング」でみかんのギフトセットを見ていたから、再度広告として表示させて購買意欲を刺激しよう」という判断ができるようになるのです。
具体的に図に起こすと、以下のようになります。

zu4.PNG【画像クリックで拡大】

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このような広告配信の代表例が「リターゲティング配信」です。リターゲティングの仕組みについては、詳しく別記事でも紹介しています。
ご覧になりたい方はコチラ

追跡されてもよいかは一般消費者が決めるもの、という考え方が広まっている

りさ子さんの事例では、広告配信を行うためにりさ子さんのブラウザに付与された3rd party Cookie上のCookieID「1234」をA社が営利目的で使用していることは明らかですね。

この例に限らず、多くの広告配信事業者が、CookieIDを活用することで『特定のブラウザに対して、閲覧履歴にあった広告を表示させる』ことを行っていますが、一方で、りさ子さんの立場になってこの出来事を評価してみるとどうなるでしょうか。もしかしたら彼女は「自分が昨日見たサイトが広告として表示されるなんて、ちょっとコワイ...」と思っているかもしれません。

実際には広告配信事業者側でも、りさ子さんがそのような感情を抱いた際には同種の広告配信を行わないようにすることができる『設定ページ(オプトアウト)』を設けていることが一般的ですが、一般消費者の多くはそのようなページが存在することは知らないと思われます。また、業界関係者でない限り、なぜ自分が昨日見たサイトが広告配信事業者にわかってしまうのか、仕組みを理解している人も少ないでしょう。

このような状況に鑑みて、Apple社では、一般消費者(ユーザー)が快適なスマホ利用ができるようSafariにITPを導入し、"追跡"を容易に許可しない仕組みとしたのです。
同様の動きはSafari 以外のブラウザにも広がっていますので、広告配信事業に関係する方は各ブラウザの最新動向をチェックすることをお勧めいたします。

【参考】 ITPの具体的な実装内容 (2019年9月時点)

ITPは高頻度でバージョンアップが行われており、現在は「ITP2.2」が採用されています。また、近々「ITP2.3」にアップデートされる見込みです。過去のバージョンの内容も含めて、以下に簡単にデフォルトの仕様をまとめました。
バージョンアップされるにつれ、Cookieの取り扱いがどんどん厳しくなっていることが見て取れますね。
なお、一般消費者(ユーザー)が自身のスマホの設定画面から『Cookieを自動削除されない』よう設定変更することは可能ですが、一般消費者自らそのような設定変更を積極的に行う人は稀ととららえたほうがよいでしょう。

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いかがでしたか?

デジタルの世界においても一般消費者を尊重した動きが起こることは至極当然のことと言えますが、ITPは、Cookieを活用してビジネスを展開している人々にとっては死活問題でもあります。
このような動きに鑑みて、CookieIDではなく広告IDを活用しようとする動きや、クロスデバイスマッチングなどの推定技術を用いたサービスが展開されるなど、代替となりうるビジネスモデルも生まれつつあります。
デジタルマーケティング業界にお勤めの方は、日々の情報キャッチアップと、その情報が自社のビジネスにどう影響するのかを考えるクセを日ごろからつけておくようにするとよいでしょう。

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広告IDの仕組みについては、詳しく別記事でも紹介しています。
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