Tele-vision 2018年のテレビを振り返る 視聴経路が多様化する中、 スポーツは"リアルタイム視聴"が明確に

勝美 恵一
ソリューション事業局 テレビ・メディアソリューション部
勝美 恵一
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2018年はどんなテレビ番組が注目を集めたのか、 現時点(11月末)までの視聴率データをみながら 今年1年を振り返ります。

最初に、2018年1月1日~11月30日までの高世帯視聴率上位番組(関東地区)を確認します【表1】。
上位31番組中、22番組がスポーツという結果です。今年は2月の平昌オリンピック、6~7月のサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会と大きなスポーツイベントが続いた年でした。連日テレビの前で日本代表の活躍にくぎ付けになった人も、今年は特に多かったのではないでしょうか。

スポーツ中継以外では、毎年恒例の「24時間テレビ」や「世界の果てまでイッテQ!」が上位に入っています。「イッテQ!」は2015年から毎年ランクインしており、その年を代表する番組の常連となっています。 また、「24時間テレビ」のチャリティランナーも「イッテQ!」でおなじみのみやぞんが務め、番組初のトライアスロンを完走しています。

そのゴールシーンを含む「24時間テレビ41愛は地球を救うPART10(19:00~20:54)」は、スポーツ以外の番組では今年で最も高い27.6%を獲得しており、特に注目度が高かったことが分かります。 その他にはニュースも上位に入っていますが、「ニュースウオッチ9」や「NHKニュース7」はいずれも平昌オリンピック期間中の放送ですので、大会の最新情報が注目を集めた結果といえます。例年、年間の視聴率上位にはスポーツ中継が数多く入りますが、平昌オリンピックとサッカーW杯の開催によって今年はその傾向がより強く表れているようです。

り上がるスポーツ中継 次はラグビーW杯・五輪の自国開催!

2月に開催された平昌オリンピックでは、日本選手団が冬季大会として過去最多のメダル13個を獲得し、連日注目を集めました。大会中継の視聴率をみると、最も高かったのは2月17日(土)の「フィギュアスケート・男子フリー」の生中継です【表2】。羽生結弦選手がオリンピック2連覇を達成、宇野昌磨選手も2位に入って日本勢が上位を独占し、大きな話題となりました。

その他の競技では、初の銅メダルを獲得し"そだねー""もぐもぐタイム"も流行語になった「カーリング女子」、6つのメダルを獲得し強さを見せた「スピードスケート」など、日本勢が活躍した競技が特に高い視聴率を獲得しています。 男子フィギュアが放送されたのは土曜の昼、カーリングやスピードスケートはいずれも夜19時台以降の放送です。一方、4年前オリンピックが開催されたロシア・ソチは日本と6時間の時差があり、競技の生中継は深夜に集中していました。

ソチオリンピックで最も高い視聴率を獲得した「開会式」(14年2月8日(土)・午前9:38~・22.3%)や、次に高かった「フィギュアスケート・男子フリー」(14年2月15日(土)・午前9:20~・21.9%)はいずれも録画中継でしたので、ニュースなどで先に結果を目にしていた人も多かったと思われます。 それに対し、時差のない韓国で開催された今回大会は、比較的見やすい時間に多くの競技が生中継されました。 テレビの前で手に汗を握って生中継を見た人もより多く、高視聴率につながったといえるのではないでしょうか。

6月にはサッカーW杯ロシア大会が開催され、日本代表が2大会ぶりのベスト16に進出し大きな盛り上がりを見せました。あらためて年間の番組平均視聴率【表1】を見ても、上位4本をW杯日本戦の中継が占めており、関心の高さがうかがえます。とくに決勝トーナメント1回戦のベルギー戦は、試合開始が深夜3時という遅い時間帯だったにもかかわらず高視聴率を獲得しています(前半:25.6%、後半:36.4%)。サッカーW杯には、6時間の時差をものともしない強い人気と関心が寄せられていたといえます。

来年の秋にはラグビーW杯日本大会、そして2020年の夏には東京オリンピックが控えており、大規模なスポーツイベントの国内開催が続きます。テレビの生中継も、今後ますます盛り上がりをみせていくでしょう。

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ラマは録画でじっくり視聴 リアルタイムとの併用も

ここまでスポーツ中心にリアルタイムのテレビ視聴率をみてきましたが、録画でよく視聴されたのはどんな番組だったのでしょうか。 【表3】は、今年の現時点までのタイムシフト視聴率上位10番組です。4位の映画「君の名は。」以外は、すべてドラマが占めるという結果になりました。ドラマや映画といったジャンルでタイムシフト視聴が多いのは以前から同じで、毎週見たい・長時間じっくり見たい番組を、録画して視聴する傾向は相変わらず強いといえます。特に今年の上位番組では「最終回」や放送分数を拡大した「スペシャル回」でタイムシフト視聴率が高くなっており、「絶対に見逃したくない」という気持ちが強くはたらいているといえそうです。

p010_fig02.png【画像をクリックで拡大】

最もタイムシフト視聴率が高かった「日曜劇場『99.9 -刑事専門弁護士- SEASONⅡ』」について、全9回の視聴回数の分布を【図4】にまとめました。こちらをみると、タイムシフト視聴はリアルタイム視聴よりも視聴者全体のボリュームは少ないものの、全9回放送中「7-9回視聴」がリアルタイム視聴を上回っており、毎週欠かさずドラマを見たい人がタイムシフトを利用している様子が確認できます。一方、リアルタイム視聴は「1-3回視聴」が半分以上を占め、数回で視聴を止めてしまった人や途中から見始めた視聴者もいたようにみえます。しかし、リアルタイム・タイムシフトを通した視聴回数(【図4】「総合」)を見ますと、全9回中「7-9回視聴」は視聴者全体の半分を占めており、「リアルタイムで見られるときは見て、見られないときは録画して、毎週欠かさず見る」というように、リアルタイム視聴とタイムシフト視聴を併用する視聴スタイルも多かったことがうかがえます。

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イムシフト視聴率、関西、名古屋でも測定開始

タイムシフト視聴率は、今年から関西地区(4月~)と名古屋地区(7月~)でも測定が始まりました。各地区における7-9月のタイムシフト視聴率上位番組をP.28に掲載しています。どの地区もドラマが上位を占めるのは同様ですが、関西では「西郷どんスペシャル」、名古屋では「アメトーーク!」といったバラエティーや、「進撃の巨人Season3」「ワンピース」のアニメ番組も上位に入っており、地区によって傾向が異なる部分もみられます。現時点では関西・名古屋地区のデータ提供が始まったばかりですが、「地方を舞台にしたドラマはご当地と他の地区で見られ方が違うのか」「各エリア独自の番組はどれくらい録画で見られているか」など、地区毎のタイムシフト視聴の詳細が明らかになることが期待されます。

レビ番組視聴の多様化 ライブ・見逃し配信も充実

インターネットを通じたテレビ番組の視聴も充実をみせています。今年の平昌オリンピックはNHKの特設サイトと民放オリンピック公式動画「gorin.jp」で、サッカーW杯ロシア大会はNHK公式アプリや民放公式テレビポータル「TVer」でそれぞれライブ中継やハイライト動画が配信されました。中継を見られる手段が多様化し、いつでもどこでも手軽に試合を楽しむことができるようになっています。 また、民放局のドラマの多くはTVerや各局の見逃し配信サイトにて放送後7日間無料で視聴することができます。今年の秋には、各局が厳選した過去の名作が「秋のプレミアム特集」として一挙配信され、さらに多くの作品をTVerで楽しむことができました。TVerを運営する在京民放5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)の発表によれば、秋のプレミアム特集を展開した9月を含む今年7-9月の月間平均再生数は4,527万回を記録し、四半期の平均再生数としては過去最多の数になっています。今年10月で開始から3年を迎えたTVerは、サービスの充実や配信対象番組の拡大によって確実に視聴者に定着してきているといえそうです。

アルタイム・タイムシフト視聴からテレビ視聴動向を追う

前述の通り、2019年秋にはラグビーW杯日本大会の開催が控えています。また、2020年東京オリンピックへ向けた予選や代表選考も盛り上がりをみせていくでしょう。大規模な大会が立て続けに国内で開催され、スポーツ中継の盛り上がりは2019年も続いていくはずです。一方で、ドラマ・映画といった番組はタイムシフト視聴や見逃し配信も併用しながら楽しまれることが予想されます。今後も、リアルタイム・タイムシフト視聴率をいずれも観察しながら、視聴者のテレビ視聴全体の様子を追っていきます。 また、個人的には年間の高視聴率番組にバラエティーが少ないことをやや寂しく感じます。来年は、スポーツ中継と肩を並べるほど「絶対見逃せない」、人気ドラマと同じように「毎週見たい」と、多くの人を惹きつけるようなバラエティー番組の登場にも期待したいところです。

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