日曜夜の新勢力『ポツンと一軒家』 躍進の背景とは

伊東 美幸
テレビ・メディアソリューション部
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2018年10月にレギュラー化されて以降じわじわと世帯視聴率を伸ばし、20%の大台にも乗った『ポツンと一軒家』の視聴率動向と視聴率アップの要因にスポットを当てます。

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<地道な取材による番組>

『ポツンと一軒家』は元々バラエティ番組内の一企画として生まれ、単発放送を経た後に2018年10月クールからレギュラー放送が開始されました。そのタイトルが示すとおり、番組は人里離れた山林にひっそりと建つ家屋を訪ね、そこに住む人の半生や不便な生活を送る理由を取材するという内容です。

取っかかりこそ、衛星写真から一軒家を見つけるという現代的なアプローチですが、あとは地元民からもたらされる情報を手がかりに番組スタッフが四苦八苦しながら一軒家まで辿り着き、家主から十人十色の背景ストーリーを引き出していくという、実に地道なプロセスにより成り立っています。

<チャンネルを合わせた世帯がじっくり視聴するように>

『ポツンと一軒家』の視聴率は、放送開始以来多少の上下をしつつも徐々に上昇(図1)、2019年6月以降は20%を超える高視聴率を度々記録しています。

図1 世帯視聴率推移
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番組にチャンネルを合わせた世帯のボリューム(1分以上視聴割合)をみると、2018年10月クールと2019年1月クールがいずれも26.2%と横ばい、2019年4月クールでも28.2%と2ポイントの伸びにとどまっています(図2)。右肩上がりの視聴率と比べると、視聴世帯のボリュームはさほど大きくなっているわけではないことが分かります。

図2 1分以上視聴割合
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一方、番組を視聴した分数のバラつきをみる視聴分数分布は、「2/3以上」視聴した割合がクールごとに増加(図3)。さらに番組放送分数の何割を視聴したかを表す平均視聴時間割合は、2018年10月クールの54.9%から2019年4月クールの65.0%へと1割増えています。これを通常56分の放送枠にあてはめると、視聴時間が約6分長くなったことを意味します。

図3 視聴分数分布と平均視聴時間割合
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つまり、世帯視聴率の上昇には、チャンネルを合わせる世帯が増加したこと以上に、視聴世帯がより長時間視聴するようになったことが大きく寄与しているといえます。視聴者が回を追うごとにその内容に引き込まれていることがうかがわれます。

<不便だが豊かな暮らしに魅力>

いざ一軒家を訪ねてみると、先祖代々つづく一軒家を年老いた主が細々と守っていたり、自分の意のままの別荘を建ててDIYを楽しんでいたりと、"ポツンと一軒家"というロケーションは同じでも、その内情は様々です。電気水道の通らない不便な生活をする住人もいます。

しかし、登場する住人は一様に今の暮らしを誇りに思い、満ち足りている様子なのが印象に残ります。そして、そこに眠る祖先への感謝や支え合うパートナーへの思いやりといった家族の絆が垣間見え、見る者の心をほっこりさせてくれるのも魅力です。

この番組の視聴者層は中高年が中心ですが、番組には彼らを魅了する要素がたくさん詰まっていることからもうなずけます。集落最後の一軒となった家に暮らす老人の姿に、生まれ育った故郷を重ねる視聴者もいることでしょう。あるいは、人生100年時代の余生にDIY暮らしの夢を描く視聴者にとっては絶好のケーススタディとなりそうです。

AIやVRといったテクノロジーが日常シーンに当たり前のように入り込みつつある中、それに逆行するような自然との共生が中高年視聴者に安心感をもたらしているのかもしれません。
今後も番組ファンの心を捉える"ポツンと一軒家"が続々と登場し、視聴率が大いに盛り上がることを期待しています。

※データはすべて、関東PM視聴率データ 

この記事はオリコン「コンフィデンス」(6月10日号)で掲載された内容を当社で編集したものです。

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