多様化する視聴者を捉える「ADVANCED TARGET」分析事例~視聴率にプロフィールデータを紐づける

白岩 佳子
ソリューション事業局 テレビ・メディアソリューション部
白岩 佳子
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「VR FORUM 2019 Data Orchestration」でもお伝えしていますが、当社はライフスタイルの多様化、デジタルを中心としたテクノロジーの進化に応じて、テレビの新たな価値創造に向けたデータのあり方を模索しています。

その中のひとつの課題に、従来の性年代だけではテレビの視聴者を捉えきれないという事実があります。世の中の変化を映し、ターゲットとなる生活者をより理解できるように、視聴率の新しい切り口として、「ADVANCED TARGET」というサービスを提供しています。

今回は「ADVANCED TARGET」を使って、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」の視聴者の特性について分析しました。
その一例を紹介します。


「ADVANCED TARGET」とは、視聴率とACR/exとをデータフュージョンすることで、性別・年齢以外の多様なプロフィールでターゲットの視聴率を集計できるサービスです。
ACR/exの豊富な生活者データにより、視聴率にサイコグラフィック特性などリッチなプロフィールを付けていくイメージです。

そのつなぎ方のひとつにデータフュージョンという手法があります。これは二つ以上のデータを融合し、擬似的にひとつのデータを作り出す手法です。双方のデータの" 共通項目"をキーに、特徴が近いサンプルを紐付けます。
「ADVANCED TARGET」ではデモグラフィック特性とテレビ視聴パターンを" 共通項目"として、データフュージョンを行っています。

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番組の具体的なプロフィールや、ファン構造がわかる

それでは、「ADVANCED TARGET」を使って「世界の果てまでイッテQ!」(NTV日曜19:58~20:54)(以下「イッテQ」)の番組視聴者がどのような人たちなのかをみてみましょう。
「イッテQ」は、2007年に放送を開始し、今年で12年目を迎えた日本テレビの人気番組です。タレントが海外で体を張って色々なことに挑戦をする、まさに" 謎とき冒険バラエティー"です。

その奮闘している様子が楽しく、笑えるという娯楽性だけでなく、その場所の文化や風習などを知ることもできる情報性も備えています。では、「イッテQ」視聴者は情報に対してどのような意識を持っているのでしょうか。

「イッテQ」視聴者は "情報収集は自ら積極的に行うほうだ"や、" 面白いと思った情報は周りの人に話したくなる"などの情報の受発信についての意識が相対的に高い人たちであることがわかります【図表1】。

それは、スマートフォンによる検索機能の利用率の高さからも窺われます【図表2】。そのスマートフォンで見ている情報も、上位10項目いずれも全体平均を上回っており、天気やニュースだけでなく、芸能情報やグルメ情報など様ざまな情報により多く触れている情報収集意欲が高い人たちだということがわかります【図表3】。

【図表1】情報に関する意識(個人全体/「イッテQ」視聴者)

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【図表2】スマートフォンでの‟ネット検索機能"利用割合
個人全体/「イッテQ」視聴者)


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【図表3】スマートフォンで見ている情報ジャンル(個人全体の上位10項目を抜粋)


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【画像をクリックで拡大】


次に、切り口をかえて、「イッテQ」をよく見ている人、つまりファン層は具体的にどのような情報に関心があるのかをみてみます。情報ジャンル(44項目)ごとにその関心者の「イッテQ」の視聴状況を集計してみました。
「イッテQ」では海外で登山や冒険をする企画があるので、スポーツや旅行・レジャー・アウトドア関心層の視聴率が高いのではないかと思いきや、実はそれ以上に「タウン情報」「自動車」「キャラクター」に関心がある層がよく見ている番組だとわかりました【図表4】。

このように、「ADVANCED TARGET」を使うことによって、番組視聴者に占める特定ターゲットのシェアと、特定ターゲットの視聴状況の両面から、番組視聴者の特徴を把握することができ、今まで見落としていた意外なファンの特徴を知ることができます。

【図表4】関心情報ジャンル別「イッテQ」番組平均視聴率
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ターゲット層がいつテレビを見ているかがわかる

「ADVANCED TARGET」では、特定ターゲットがどの時間帯によくテレビを見ているのかも把握することができます。たとえば、特定商品の商品タイプ別といった細かな利用意向者の視聴状況も確認することが可能です。自社のメッセージを届けたい生活者(ターゲット)がいつテレビを見ているかを把握することは、CM出稿のプランニング上、重要です。

今回は一例として、「ヨーグルト」利用意向者を取り上げ、その中でも食べるタイプと、飲むタイプ、それぞれの利用意向者によるテレビの見方をみてみます【図表5】。
両者のテレビ視聴を比較すると、「飲むヨーグルト」より「食べるヨーグルト」利用意向者の方が全曜日、全時間帯において満遍なく見ている傾向があります。

このデータを踏まえて、テレビCM出稿を考えると、ターゲットが「食べるヨーグルト」層なら出稿の時間帯の選択肢は多いですが、「飲むヨーグルト」層に訴求するなら時間帯を絞り込むのが効率的、といった判断ができるようになります。

【図表5】ヨーグルトタイプ別の全局視聴状況

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生活者のタイプ別にテレビとの関わり方がわかる

「トレンドフリーク」「雑学ロジカル」とではテレビとの関わり方は異なる

テレビとの関わり方は人の特性によって様ざまです。「ADVANCED TARGET」では、当社の「ひとセグ 情報×選択セグメント」※1でタイプ分けされた生活者の視聴率を把握することができます。

このタイプごとにテレビとの関わりをみてみます。「情報× 選択セグメント」の中でも、ここでは、情報の収集・発信ともに自発的なタイプである「トレンドフリーク」と「雑学ロジカル」に注目します。実はこの2つのセグメントはテレビへの関与に違いがあります【図表6】。「トレンドフリーク」は、「見たい番組は時間をやりくりする」「話題になった番組はなるべく見る」の割合は高いですが、それに対して「雑学ロジカル」は高くなく、テレビへの関与が低めです。このテレビへの関与の違いが視聴状況にどのように表れているのか、4月30日~5月1日の改元時のテレビ視聴率で比較してみましょう【図表7】。

「トレンドフリーク」は改元のタイミングである24:00に向かって視聴率が上昇し、24:00にピークを迎えます。一方の「雑学ロジカル」は、改元のタイミングに合わせた盛り上がりはさほど見られません。

【図表6】「情報×選択セグメント」のテレビへの関与度

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【図表7】令和改元時の毎分全局視聴率

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「トレンドフリーク」は、新しいものや流行に敏感な人たちなので、カウントダウンに参加したいという気持ちが強く、世の中の盛り上がりを逃さないためにテレビを見ていた人が多かったと推測されます。一方の「雑学ロジカル」も新しいものに興味は示しますが、自身の選択基準が明確で流行には流されないという特徴があります。彼らにとって、改元時の中継は、「特別だから見る」という強い意識はなく、冷静にテレビを視聴していたのかもしれません。
このように「ADVANCED TARGET」を使うと、性年代だけでは見え難かった視聴者の嗜好や価値観など、詳細な切り口で視聴状況が把握できます。

ターゲットの特性を深く理解することによって、視聴者に寄り添った番組制作、CM出稿を考えることに役立ちます。今回、紹介した切り口はごく一部です。ご興味のある
方は当社営業担当までお問い合わせください。

※1  生活者の情報感度や収集・発信意欲の強弱などの「情報への関与特性」と、購買などの「行動に至る選択基準」を元にタイプ分類したものです。考え方や行動が自発的か他発的か、選択基準が情緒重視か機能重視かの方向の組み合わせで、生活者を6タイプに分類しています。

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