KPI・KGIを達成するためには、テレビ広告のどんな評価を高めればよいのか?<前編> ~クリエイティブカルテのご紹介vol.9~

青島 弘幸
ソリューション局 デジタルソリューション部
青島 弘幸
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1.私たちの課題

 皆さんは普段、テレビ広告を出稿した後、どのように効果を把握していますか。特に複数のクリエイティブを投下した時、どういう方法でクリエイティブが効果を検証しているのでしょうか。

 CMの内容が"電波チラシ的"なものであれば、売上との関係からクリエイティブの良し悪しを把握するのは容易でしょう。しかし、CMの目的は商品・サービス名の浸透や、機能・特徴の理解、ブランドイメージの向上など、商品・サービスの状況に応じて変わっていきます。このような場合、多面的な項目でCMを評価すれば、CMの評価構造が把握できます。

 ただし、ここから次の改善策を得るには、どんな項目を高めれば経営目標であるKPIやKGIの指標のスコアを高められるのかを掴むことが重要です。
 例えば、CMの購入喚起度がノーム値より高いことを評価基準において社内報告したとしても、何故、その調査における購入喚起度の高さが商品・サービスにとって良いことなのか、説明を求められることでしょう。

 このように考えるのは、当社で展開するクリエイティブカルテにおいても同様の相談が寄せられるからです。調査対象者に広告をみてもらい『商品・サービスを購入・利用してみたい』と質問しているのだから、我々の意図としてCMの商品・サービスに対する貢献を測定しているつもりなのですが、これだけでクライアントの社内を納得させることはできません。海外の影響を受けて経営戦略に(あえて英語で)アナリティクスが浸透し、彼らが最も関心のあるKPI・KGIとの関係性を把握して調査結果を語ることが求められる時代になっています。

 つまり、冒頭の投げかけはそのまま、ブーメランとしてクリエイティブカルテを推奨する当社の方向に向かってきた課題でもありました。KPI・KGIには、ブランド力のような心理指標やサイト来訪数、来店数、そして売上のような行動指標がよく上がります。このような各企業の社内で注目される指標と、CMクリエイティブ評価の関係性を探る手段を紹介するのが本稿のテーマです。前編ではアプローチの仕方を説明していきます。
 なお、この記事は、日々あらゆる数値・分析を駆使して社内への説明や戦略を練っているマーケティング担当者向けにお伝えしますので、難解な表現も交えた説明になることを予めお含みおきください。

2.課題にアプローチする分析方法のご提案

 データ間の関係性を量的に語るには、回帰分析系のアプローチが有用です。そこでCMがKPI・KGIに関係しているという立場から、解法ではなくデータの捉え方に焦点を当てて説明します。

 まず、クリエイティブごとの出稿量さえ把握できれば、KPI・KGIに対する1GRPあたりの効果の良し悪しを語ることはできます。図1はその分析をモデル(模式図)として表したものです。KPI(目的変数)には当社で過去にコミュニケーション効果測定として行っていたMind-TOP(ブランド再生・広告想起調査)の「ブランド考慮率(※1)」を置いて説明します。

※1 カテゴリー名を提示し「買ってもよい銘柄」で想起してもらう調査のブランド回答率。

<図1.クリエイティブの1GRPあたりの効果を探るモデル>

クリカル_図1_シャープ.png


※添え字のiはクリエイティブの区分け、tは時点を表す。

 図中の楕円はデータ、四角は回帰分析で推定する係数を表します。目的変数は過去の水準から変化する時系列データであるので、1期前(t-1)のスコアを説明変数に加えています。これは前期からの維持率を表し、0~1の間で推定されます。(尚、この係数は広告の長期効果に関係します。)

 この例では考慮していませんが、例えば「売上」のような指標との関係性を探る場合には、季節変動や1年のサイクルを超えるような循環変動、気温、天候、価格など、他の要因も考慮してモデルを組み立てていくことになります。

 データを揃え回帰分析を行えば、各々のクリエイティブ1GRPあたりの効果を捉えることができます。この部分だけでも、複数のクリエイティブの効果差を把握することはできます。本稿のご提案は、ここで更にクリエイティブカルテを利用すれば、KPI・KGIが高められるCMの評価要因をつきとめることでき、表現戦略に対し明確な目標設定と、実行後のチェックを行っていくことができるということです。

では、クリエイティブカルテの評価スコアを絡めたモデルを提示します。

<図2.クリエイティブ1GRPあたりの効果とクリエイティブ評価の関係を探るモデル>

クリカル_図2_シャープ.png


※添え字のiはクリエイティブの区分け、kは評価項目の区分け、tは時点を表す。


 図1と違う点は、クリエイティブごとの1GRPあたりの効果の係数をクリエイティブカルテの評価項目から推定するところです。『KPI・KGIに与えるクリエイティブの1GRPあたりの効果はクリエイティブの特質によって決まり、その特質はクリエイティブ評価に反映されている』と捉えています。これは階層モデルといわれる手法です。クリエイティブ評価項目のKPI・KGIの影響(ピンクの四角)は、すべてのクリエイティブの平均的な効果として、評価項目ごとにひとつ推定します。求められた係数を項目間で比較することによって、どのようなクリエイティブ評価項目を重視すべきかが把握できるようになります。

 以上、課題の投げかけとそれに対するアプローチ方法を説明しました。後編では、図2のモデルによってデータを捉えた分析事例をご紹介いたします。


<後編はこちら>
KPI・KGIを高める為に、テレビ広告のどんな評価を高めればよいのか?<後編> ~クリエイティブカルテのご紹介 vol.10~

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