KPI・KGIを達成するためには、テレビ広告のどんな評価を高めればよいのか?<後編> ~クリエイティブカルテのご紹介 vol.10~

青島 弘幸
ソリューション局 デジタルソリューション部
青島 弘幸
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前編ではテレビ広告の効果把握の課題提起と、課題に対するアプローチを紹介しました。後編では当社が保有するブランド評価データをKPIと仮定し、前編で提案した方法を駆使した分析事例を紹介いたします。

前編はこちら
KPI・KGIを高める為に、テレビ広告のどんな評価を高めればよいのか?<前編> ~クリエイティブカルテのご紹介 vol.9~

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3.事例紹介~お茶ブランドAのCMにとって高めるべき評価項目は何か?

あるお茶飲料のブランドAを対象にした分析事例をご紹介します。
まず、お茶ブランドAの概況として、ブランド考慮率(※1)とテレビCMのクリエイティブごとのターゲットGRPの推移を2週単位で表してみます。

※1 カテゴリー名を提示し「買ってもよい銘柄」を想起してもらう調査のブランド回答率。

<図3.お茶ブランドAのブランド考慮率と広告投下状況>
※男女18~59歳

クリカル_図3.png

分析期間:2017年7月31日週~2018年9月24日週

 ご覧のとおり、13ヶ月の間に13種類ものクリエイティブが投下されています。(15秒・30秒の素材は同じクリエイティブとしてまとめています)
 18年の3月~6月はそれ以前の水準と比べ1、2ポイント高くなっています。この期間はGRPに対する反応が良くなっているように見受けられます。このあたりがポイントになりそうです。

 それではここから本題である、お茶ブランドAのテレビCMにとって高めるべき評価項目を検証します。

●モデル解析にかけるクリエイティブ評価項目について

 まず、ブランド考慮率との関係性を探るクリエイティブの評価項目を検討します。クリエイティブカルテでは、現在42項目を聴取しています(図4)。

<図4.クリエイティブカルテの評価構造>

クリエイティブカルテの評価構造

狙っていない項目ならスコアが低くても問題がないので検討から外し(広告認知経路も同様)、赤色に囲った総合評価群の項目と広告認知効率(※2)から探ります。

※2 お茶ブランドAの広告認知率とノームとの差を出したもの。ノームはGRPの影響を考慮したモデル値で、モデルはクリエイティブカルテで調査した業種(今回は清涼飲料)の調査素材で構築している。

●モデル解析の結果

 説明変数候補となったクリエイティブカルテ項目は9つありましたが、予備解析で効果係数がマイナスなもの、ほぼゼロと推定されるものは除き、最終的に「広告認知効率」、「興味・関心喚起度」、「継続視聴意向」、「話題拡散性」の4項目で解析しました(※3)。

※3 「購入喚起度」「広告好意度」は、今回のモデルからは外しました。これはそれぞれ「興味・関心喚起度」「継続視聴意向」と相関が非常に高かった為です。今回は解析結果を優先して変数を選択しましたが、その時々の目的に応じて購入喚起度、広告好意度の方を残すという選択もあります。

 モデルはシミュレーションによってデータに当てはまる係数を推定します(※4)。今回のモデル計算では2000個のシミュレーション値を得ますが、その平均値を使って結果を表していきます。

※4 どうやって係数を推定するのか興味のある方は、例えば当社社員も著者に連ねている「ビジネスマンが一歩先をめざすベイズ統計学」(朝倉書店)などをご参照ください。


まず、モデル値(推定値)が実測値に当てはまっているか、その具合を確認します。(ポイントは各期のスコアです。)

<図5.お茶ブランドA ブランド考慮率モデル値と実測値>

お茶ブランドA ブランド考慮率モデル値と実測値

 相関係数が0.773と、まずまずの当てはまり具合を示すモデルが得られました。では次に、そのモデルのクリエイティブ評価項目の係数について、興味・関心喚起度の係数を1とした方法で図示します。

<図6.クリエイティブ評価項目の効果係数(インデックス)>

クリエイティブ評価項目の効果係数(インデックス)

 上記の指標の中でみれば、興味・関心喚起度はその広告がどれだけ商品・サービスに貢献するかを直接的に表現しているので、ブランド考慮率と関係性が高いと思われるのではないでしょうか。しかし、結果は意外にも話題拡散性の方が5倍も高く推定されました。

 話題拡散性は、"人に話したくなる・教えたくなる(SNS、ブログ、口コミサイト等の投稿も含む)"を表したもので、周囲への情報伝播のポテンシャルを測る尺度とみていました。

この分析結果を受け改めて話題拡散性の意味を考えると、広告をみたとき会話を誘発させられるならば、その行為は記憶の定着に役立つと思われます。ブランド考慮率は選択肢の助けを借りず記憶のみでブランドを想起させた指標なので、話題拡散性が高いと記憶を向上させると捉えることができます。
(但し、単に話題拡散性が高いだけのCMでブランドを購入したくなるのかは疑問です。このお茶ブランドAのCMは一貫して、出演者やストーリーより商品・サービスの機能や特徴が印象に残る作りになっています。)

また、継続視聴意向もブランド考慮率に対し影響が強く、次も見てみたいと思わせる評価が大事なようです。例えば、図3のCM9は話題拡散性や継続視聴意向の評価が高いものでした。このCMの出稿時にはブランド考慮率がGRPに比して高まっている傾向がみられます。CM9の出稿以前のブランド考慮率は34%前後で膠着状態にあり、このモデル解析の結果からCMの話題拡散性や継続視聴意向の高さが膠着打破に機能したのではないかと思われます。(図3はこちらをクリック

●モデルの活用について

 モデルを使うとブランド考慮率を目標値まで高めるための出稿量の目安を得ることができます。図7にて、CM9と、同じタレントを起用したCM11のシミュレーションを例示します(※5)。

※5 GRPの効果は出稿量に対して収穫逓減すると捉え、GRPを開平変換してモデル解析しています。

<図7.GRPに対するブランド考慮率のモデル値>

GRPに対するブランド考慮率のモデル値

 CM11はCM9と同じシリーズ広告ですが、GRPに対するブランド考慮を上げるチカラは弱いようです。例えばブランド考慮率を1ポイント高めるには、CM9の場合は100GRP強くらいですが、CM11の場合は700GRPも必要になります。このようにクリエイティブ評価が得られれば、その後の出稿量の検討やその素材の出稿を続けるか否かの判断を行うことができるようになります。

4.最後に

 今回、KPIとして当社のブランド評価データで分析を行いましたが、お客様がふだんから注視する経営管理指標を目的変数にした分析に対応することもできます。ぜひこの機会にクリエイティブカルテ(※6)をご利用いただき、本稿の分析を試してみませんか。よろしくお願いいたします。

※6 「すぐに分析活用したいが過去に出稿したCMの評価データがない」場合は、当社と東大との産学連携したディープラーニングによるCM評価モデルで予測値を算出し、本稿の分析にかけることもできます。ぜひ営業担当にお問い合わせください。

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