マーケティングのカギとなる利用者の特性を明らかに!レジャー施設を調査してみた

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広告・マーケティング
#ACR/ex #マーケティング #ライフスタイル
マーケティングのカギとなる利用者の特性を明らかに!レジャー施設を調査してみた

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅水族館・遊園地・動物園などのレジャー施設の宣伝・マーケティングを担当している方
✅レジャー施設などの企画に携わっている方
✅自社と競合他社の利用者プロフィールの違い(商品・広告関心など)を簡単に知りたい方

観光需要が盛り返す中、テーマパークやレジャー施設等のマーケティング戦略は多くの施設が直面している課題のひとつです。新施設のオープン情報やテーマパークのイベント情報など、日々様ざまなメディアを通して発信されており、情報過多ともみえますが、そのような環境下で一体どのようにしたら多くのお客様を集めることができるのでしょうか。
それにはまず、利用者像を把握するということがマーケティング活動を行う上で欠かせないステップではないでしょうか。

そこで本記事では、当社の日本最大級のマーケティングデータ「ACR/ex」をもとにした施設利用者、つまりターゲットを明らかにするレポートパッケージ「ターゲットプロフィールシート」を用いた分析事例を紹介します。

今回の分析対象は、関東に構える2つの水族館、"新江ノ島水族館"(以下「えのすい」)と"鴨川シーワールド"(以下「鴨シー」)で、それぞれの利用者の属性や特徴、意識を明らかにし、その違いに迫ります。

記事の中でご紹介しているサービスはこちら【ターゲットプロフィールシート】
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1.利用者像は?
―「えのすい」は若い女性中心に、「鴨シー」はファミリーに人気

はじめに、利用者の属性として男女比、年齢層、職業構成について確認していきます。

水族館利用者 男女比

※個人全体...東京50Km圏に在住の集計対象全体(男女12才~69才)

「えのすい」「鴨シー」利用者の男女比はいずれも女性の割合の方が高く、特に「えのすい」の女性比率が目立ちます(図1)。

次に、利用者の年齢層を確認します。

水族館利用者 年齢構成比

年齢構成比(図2)でみると、「えのすい」は、男性は30代→20代、女性は30代→20代→40代の順で多く、男女共に20代・30代の比率が高い傾向にあります。
一方で「鴨シー」は、男性は30代→40代、女性は30代→40代→20代の順で多く、男女共に30代・40代の比率が高い傾向にあります。

このことから、「えのすい」の利用者の方が相対的に女性かつ若年層が多いということがわかりました。

続いて、利用者の職業構成(図3)をみてみましょう。

水族館利用者 職業構成

相対的に目立っているのは、「えのすい」は「大学生」(6.1%)を中心とした学生の割合が、一方の「鴨シー」は「主婦・主夫」の割合(23.0%)が多いのが特徴です。

ここまでのデータを読み解くと、
・両施設とも女性の比率が高い
・「えのすい」利用者は大学生を含む20・30代の若い利用者が多い傾向にあり、若者のデートスポットとして利用されているのではないか
・「鴨シー」利用者は主婦・主夫や30・40代の利用者が多い傾向にあり、ファミリー層に利用されているのではないか

と推察できます。

2.生活意識の違いは?

次に利用者のパーソナルな部分をデータでみていきます。
両者の違いに着目して、特徴を捉えることでどのような人物像なのかを確認していきます。

(図4)~(図6)の赤枠・青枠について
赤枠→「えのすい」利用者の方が「鴨シー」利用者より5pt以上スコアが上回っている項目
青枠→「鴨シー」利用者の方が「えのすい」利用者より5pt以上スコアが上回っている項目

彼らの生活意識に関して「衣・食・住」の3つの観点からみていきます(図4)。

2-1.生活意識(衣・食・住)

水族館利用者 生活意識について

衣(ファッション・身だしなみ)をみると、「えのすい」は、「着るものに気を使うほう」「ファッションは自分を表現する手段」「ファッションの好みははっきりしている」「体型に気を配っている」など多くの項目で高くなっています。
対して、「鴨シー」では「えのすい」のスコアを大きく上回った項目が見当たらず、相対的にファッションや見た目に強いこだわりをもっているとは考えにくいということがうかがえました。

食(食事・食品・料理)では、「えのすい」は「料理はレシピを見ながら作る」「塩分のとり過ぎに注意している」のスコアが高く、対して「鴨シー」は「料理の手間を省くための工夫」「料理のレパートリーを広げる努力」のスコアが高いことがわかります。
料理に対してレシピに忠実で健康志向な「えのすい」と、効率重視で進める「鴨シー」で両者の食に関する意識の違いを読み取ることができます。

住(くらし/掃除・洗濯/お金/環境・社会活動)では、「えのすい」は「生活へ他人が踏み込むのは嫌だ」「富や名声より自分にあった生き方」「好きなことはとことん追求する」など多くの項目で高く、生活にこだわりがみて取れます。対して「鴨シー」は「社会の少子高齢化に不安」で「えのすい」を5pt以上上回る結果となっています。
"個人"のくらしと環境活動への貢献に関心が高い「えのすい」利用者と、"家族"間コミュニケーションや社会問題に関心が高い「鴨シー」利用者とで、日々の暮らしの中で優先したいことの違いを読み取ることができます。

相対的にみると、
・「えのすい」利用者は"衣"を通して個を表現し自分にあった生き方を好み、健康環境志向が強い
・「鴨シー」利用者は、料理は短い時間で多くの品数を作るなど、生活の効率性社会問題への関心が高い
と推察されました。

2-2.関心のある商品・サービス

次に、両施設の利用者はどのような商品に関心を持っているのでしょうか。
マーケティング戦略上必要とされるターゲットの興味関心ゴト、モノを確認していきます。
今回は「消費財・耐久財・サービス」の3つの要素からそれぞれスコアが高かった商品を取り上げます(図5)。

水族館利用者 関心のある商品・サービス

まずは、「えのすい」利用者が関心のある商品・サービスについてみていきます。
前項で述べた通り、当施設の利用者は「体型に気を配り、ファッションやメイクは自己表現の一種」と捉えている傾向がありましたが、関心のある商品においても「ポイントメイク化粧品」「衣料品」「スポーツ・フィットネスクラブ」など見た目に関わる商品に関心が高い結果となりました。

他にも「ワイン」や「音楽ソフト・映像ソフト」「映画・演劇などの案内」といった、余暇を充実させるための趣味や娯楽への関心が高いことも特徴です。

それに対して、「鴨シー」利用者は、前項においても料理を効率的に進めたり、工夫、努力している傾向がみられましたが、関心のある商品・サービスでも「主食(米・パン・パスタ等)」「ジュース・コーラ等の清涼飲料」をはじめとした飲食関連項目で「えのすい」を上回っています。全体的に飲食に関わる商品への関心の高さがみて取れます。
他に「普通乗用車(国産)」「タブレット端末」「貯蓄・債券・金融商品」への関心の高さもみられます。

ここまでのデータを読み解くと、
・「えのすい」利用者は自分の趣味に関わること(化粧品や映画・音楽など)に関心をもっている
・「鴨シー」利用者は暮らしや生活に関わる商品・サービス(食料品や貯蓄・車など)に関心をもっている
といった傾向がみられました。

3.メディアの利用実態と、広告への評価の違い

次に、両者のメディア利用の違いをみていきます。メディアの利用実態や、それに紐づく広告への評価を把握することは、彼らとのコミュニケーション活動において大事なポイントといえるでしょう。
(図6)は、各メディアをどのくらい利用(接触)したか「到達率」という指標で確認します。

どのくらい利用したか=到達率は以下の基準
・テレビ、インターネット:15分以上接触した人の割合
・交通:週1日以上接触した人の割合

3-1.各メディアの利用状況(到達率)

水族館利用者 メディアの利用実態

全体的にみると、「テレビ」「スマートフォンによるインターネット」利用が8割を超え、これがメディアの主流となっています。これらにおいては「えのすい」「鴨シー」利用者に大きな差はみられません。

その中で、両者を比較すると、
・「えのすい」(オレンジ色棒グラフ)は「電車」「バス」の利用と、テレビ画面を通しての「インターネット」(いわゆるコネクテッドTV)利用が高い

・「鴨シー」(水色棒グラフ)は、「車」利用と、パソコンやタブレット端末を通した「インターネット」利用が高い

といった傾向がみられました。

3-2.メディア別広告の印象

次に、広告に対する印象や評価をメディア別に確認します(図7)。
特に代表的な「テレビCM」「電車の車内広告」「スマートフォン、携帯電話を通してのインターネット動画広告」「パソコン、タブレット端末を通してのインターネット動画広告」の4つの広告に対して、それぞれの利用者がどのような印象を抱いているのか、上位3つをまとめました。

水族館利用者 広告の印象

全体的にみると、「テレビCM」に対する評価が両利用者ともに目立って高く、「商品やサービスに興味がわく」「発売された事を知る」「新製品の名前を覚えやすい」「商品名が印象に残る」で他の媒体よりも強い力があると評価しています。
これだけみると、テレビ広告の強さが際立ちますが、「インターネット動画広告」「電車の車内広告」に対しても、「発売されたことを知る」「商品やサービスに興味がわく」点を評価。さらに「電車の車内広告」には「つい見てしまう」も評価されています。
その中で「インターネット動画広告」対してはデバイスの違いや影響はほどんどなく、両利用者ともに「ストレス」を感じている様子がうかがえます。

広告に対する評価や印象においては、両利用者に顕著な差はみられませんでした。

「テーマパーク」や「水族館」といった大きな括りで捉えるだけでなく、自社の利用者を深掘りし、彼らの特性や行動、意識を十分理解した上でメディア選択や広告コミュニケーション活動することが求められるのではないでしょうか。

4.まとめ

最後に、今回比較した2つの水族館を利用する人にはどんな特徴があるのかをまとめました。

<新江ノ島水族館>
年齢層は20・30代や大学生などが多いことから、まだ家庭を持っていない人が多いのではないかと推察されます。相対的に、広告との親和性が高く、特に個人としての生活を充実させるものへの関心の高さがみて取れました。
将来という視点よりも、 "今の生活を豊かにすること"を重要視している傾向がみられました。

<鴨川シーワールド>
年齢層は30・40代の主婦・主夫が多く、家族での利用が多いとみられます。そのためか、共有が可能なパソコン・タブレット端末を通してインターネットを利用していたり、車利用や関心が高かったり、個人というより家族の生活を充実させるもの、どれも人と共有できるもの、使えるものの意識が高い傾向がみられました。
考え方の軸が「家族」に向いており、今の生活も大事だが将来の生活も見据えて"未来の人生設計に必要なものを求めている"傾向にあるとみられます。

このように、似たような施設でも、利用者の属性や意識を深掘りすることで、興味関心のある商品・サービスやメディアに抱く印象や評価など、その利用者特性に違いがあることがみて取れました。

今回は「ターゲットプロフィールシート」のデータから、集客や広告展開などのマーケティング活動のベースとなる「衣食住に対する意識」「テレビ・インターネット接触時間」「関心のある商品・サービス」から、利用者像を明らかにしました。これ以外でも、時間の使い方についての違いを生活行動(1日の時間の使われ方、時間量)から確認したり、メディアや広告についての評価からターゲットの特性を確認することができます。

ターゲットプロフィールシートでは商業施設や遊園地・テーマパークなど全国1200施設の利用者像をレポーティングすることが可能です。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ターゲットプロフィールシート」
・調査時期:2023年4~6月
・対象地区:関東
・ターゲット:新江ノ島水族館利用者(n=148)
       鴨川シーワールド利用者(n=122)

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