【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】原体験から飛び込んだ、バスとラジオの深い世界~KBCラジオ『金子哲也 バス語り記』金子哲也さん~

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ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO  第72回


今回は福岡のKBCラジオで2024年1月3日に放送された特別番組『金子哲也 バス語り記』に注目しました。バスが大好きなディレクター、金子哲也さんが企画した番組で、午後2時から4時間にわたって放送されました。

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主な出演は金子さんのほかに車輪が好きなディレクター"車輪田幹男"氏、同局の解説員で同じくバスが大好きな早川裕章氏、バス路線探検隊のちょんびん氏。

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▲『金子哲也 バス語り記』出演者
(左から)ちょんびん氏、金子さん、早川氏、車輪田幹男氏

番組はバスに関する思い出、好きな車両、バス停にまつわるトーク、バスと2024年問題などバス愛が炸裂。福岡県内の話がメインで福岡の地名が次々に出てきたものの、SNSで番組のことを知った全国のリスナーからメールが届きました。そこで今回は金子哲也さんに話を伺いました。

福岡県はバスがとても活躍しています。福岡を拠点とする西鉄バスは、直系のグループ全体で約2430台(2022年度)を保有する日本最大のバス事業グループです。福岡都市圏の郊外の宅地化が進展するとともに、バスの需要は増加の一途をたどり現在に至ったといわれています。

30分がまさかの4時間番組に

やきそば 『バス語り記』、とても面白かったです。私も子どもの頃からバスが好きだったこともあるかもしれませんが。

金子さん バスマニアのメンバーが語る世界観がとても面白かったという声も多かったですが、なかには「よく分からない。でも聴いていて楽しかった」という方もいらっしゃいました(笑)。

そもそも福岡の人はバスが好きな人が多いと思います。バスを身近に感じていて、地元のバスの話題に対して、たくさんの方から反応がありました。

やきそば 番組でも仰っていましたが『バス語り記』は金子さんが企画書を提出した段階では30分の収録番組を想定していたんですよね。

金子さん そうなんです。企画が通っただけでも奇跡なのに「4時間にしよう」と言われて、最初は企画した僕自身が「大丈夫かな」と思いました(笑)。お正月真っ只中の午後にバスの番組を4時間も生で放送するわけですから。

やきそば 放送当日、リスナーからも「すごい!」「どうかしてるけど、いかにもKBCラジオっぽい」という投稿がありましたよね(笑)。

金子さん バスをテーマにした番組自体も珍しいですからね。ニッチな番組といえば、弊社のポッドキャスト番組にも団地にまつわる話に特化した『Shall We 団地?』があって好評です。

生放送の利点を活かした放送

当日は生放送が始まって1時間ほど経った午後3時すぎに、福岡県北九州市のJR小倉駅近くの飲食店が密集する「鳥町食道街」で火災が発生。急遽、番組の途中で早川解説員が分かる範囲で解説しました。

やきそば 元日には能登半島で地震が発生。番組では震災時のバスの役割についてしっかりと紹介されていましたよね。燃料電池バスは災害発生時に50人規模の電力が3日間供給可能で、往復100キロまで行くことができるといったことも知りました。

金子さん 震災時のバスの役割の話はあらかじめ予定していたのですが、生放送ということで、急遽コーナーの時間を拡大してお送りしました。EVバスや水素燃料電池バスの製造に新規参入する会社も増え、近年はさまざまなタイプのバスの車両が登場しています。

災害時に役立つのはもちろん、今後、人口や高齢者の割合、道路の幅の広さなど、事情に合わせた車両を導入する動きが加速するのではないでしょうか。

やきそば そういえば、バスの自動運転の実証実験も行われていますよね。

金子さん 多いですね。自動運転のバスが導入されることで、バス運行が維持されることも期待できるわけですが、一方で、事故の発生に対する懸念もまだまだあります。

ゆっくり走行するため、後続の自動車が追い抜こうとして対向車と接触して事故が起こった例もありますので、本格導入まではまだ時間がかかりそうです。

やきそば 確かにそうですね。

欠点に触れてこそ

やきそば 『バス語り記』はバスについて詳しくないリスナーのこともかなり意識しましたか?

金子さん なるべく、バランスをとるように心がけました。本当はバスに乗らない人を共演者としてひとり入れて、補足説明をしながら進行していくとよかったと思いました。

やきそば どんどんディープな話になっていく感じは面白かったです(笑)。

金子さん ただ、いくらバスが好きだからといっても、欠点についても触れないと幅広い方々に興味を持ってもらえないのも事実です。変な例えかもしれませんが、夫婦関係と一緒です。お互いが気に入っているところだけではなく、改善してほしい点も含めてすべてをひっくるめて好きだったりしますよね。

それと同じで、単にバスが好きなことを一方的に発信しているだけではダメで、両方伝えるからこそ説得力があるんです。

やきそば 確かに、私もバスに乗るのは好きですが不便を感じることはあります。初めて訪れた街でバスに乗ろうとすると、どのバスに乗れば良いのか迷います。どんな路線があって、いくらかかって、1時間に何本走っているのか分からないと、知らないところに行ってしまいそうで、ちょっと抵抗を感じます。

金子さん 例えば、ICカードひとつとっても、もう少し統一したほうがいいと思うんです。全国共通で使えるカードを採用しているバス会社もあれば、その会社特有のICカードやバスカードしか使えないケースもあります。運賃箱も統一されていないから、使い方が分からなくて戸惑ってしまいますよね。

バス会社それぞれの事情もあると思いますので、完全に統一するのは難しいと思いますが、バスを含めた公共交通の利用促進のためには、国全体のレベルで利用しやすくなるための施策をもっと考えていく必要があるのではないかと感じます。

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AIの活用

金子さん また、バス業界は運転士不足の問題が注目されることが多いですが、インフラ整備も重要なんです。例えば、運賃の問題。都市部は比較的安く乗ることができますが、郊外に行くと往復するだけでかなり痛い出費になります。

乗降客が少ないと便数が減るから悪循環になるんです。例えば台湾は政府主導でバス路線が整備され、運賃もとても安いです。

※台湾の市内バスの路線の総数は300以上もあり、ほぼすべての観光スポットへアクセスできるそうです。台北の場合、ほとんどの路線の運賃が15台湾元(約70円)とのこと。

やきそば お金の問題は大きいですよね。

金子さん 日本の場合、採算の取れない路線は、補助金が出ている間はいいですが、出なくなると減便されたり廃止されることがあります。

自治体によってはコミュニティバスに転換し運行を継続するケースもありますが、そうならずに孤立する地域もたくさん出ています。少し前まではバスで乗り継いで行けた地域も、今は繋がっていない...なんてことが多くなりました。

やきそば テレビ番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京)のシリーズで、バスが少子高齢化などが原因で不便になっていることが露呈されることもありましたよね。今後、『バス語り記』の続編が放送されたらそのあたりの話にもなりそうですね。

ところで、バスに関連したことで、AIで便利になりそうなことはありますか?

金子さん 例えばオンデマンドバスは、走行するルートの決定にAIを活用しています。福岡市では「のるーと」が活躍しています※。バスは衰退している印象がありますが、さまざまな技術革新によっていくらでも回復する可能性があると思います。

※バスを利用したいお客さんがアプリで出発地と目的地を登録。指定された「ミーティングポイント」(乗り場)で乗ることができる。アプリにはバスの待ち時間や目的地までの予想到達時間も表示される。

早起きしてまで乗りたいバス

ここからは金子さんご自身について聞きました。

金子さんは熊本出身です。子どもの頃から熊本電鉄バスをよく使っていたそうです。

金子さん 特にバスのアナウンスが好きでした。ほかにも運賃箱、整理券、降車ボタンとか挙げるとキリがありません。車体のカラーリングも会社によって特徴がありますから。中学生になった頃は学校に行く前にどうしても乗りたいバスがあって、早起きして乗っていました。

あと、バスは、鉄道や飛行機に比べて、窓から流れる景色のスピードがゆっくりなところも好きです。

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出発点は熊本シティエフエム

やきそば ところで金子さんはラジオっ子でしたか?

金子さん そうですね。学生時代は衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」が制作していた番組で、全国のコミュニティFMでも放送されていた『今夜は楽しまナイト』にハマっていました。

HARRYさんやKOUSAKUさん(ほか)がパーソナリティを務めていた番組で、当時、「BUS・mani・ア」というラジオネームでメッセージを送っていました。今考えると恥ずかしいラジオネームですが(笑)、とても親近感があって癒される番組だったんですよ。

やきそば 懐かしいですね!

金子さん 福岡に移ってからもいろいろな番組を聴いていました。特に、FMでさまざまなジャンルの音楽を知って、それをレンタルショップに借りに行くのが楽しみでした。

やきそば 社会人になって最初の仕事は何ですか?

金子さん 熊本シティエフエムにお世話になりました。もう誰も信じてくれないんですが、パーソナリティでスカウトしていただいたんです。あ、今も師匠と仰ぐ当時の上司に、万が一私の記憶違いだったらいけないと思い...ちゃんとウラも取りました(笑)。

やきそば だから『バス語り記』でもスムーズだったんですね!

金子さん ありがとうございます。師匠には喋る仕事だけでなく、ディレクターや音響の仕事もできたほうが良いと言われ、いろいろと教えていただきました。在籍した期間は短かったですが、ずっとその時の教えが生きています。

その後、裏方の仕事が主になって、福岡で仕事をするようになりました。一時期、サラリーマンもやりましたが、結局ラジオの仕事に戻る運命だったようで、ズルズルと20年も経ってしまいました(笑)。

日頃から愛される番組を

やきそば 金子さんはラジオで地域の話題を届けることにかなり重きを置いていますよね。

金子さん 私自身が、コミュニティFMが出発点だったこともあります。放送局と地域が繋がるのはもちろん、放送局同士で連携して、災害時などに情報伝達などで相互協力をしていくことも重要だと考えています。

以前、福岡のRKBラジオで番組を作っていた頃、RKBラジオが北部九州・山口災害情報パートナーシップを結んでいるコミュニティFM各局とコラボする番組『ローカる!』も立ち上げました。

やきそば そうだったんですか! 局の垣根を越えて日頃から繋がっておくことも大事ですもんね。

金子さん 災害といえば、2016年に熊本地震が発生した際、地元のコミュニティFMである熊本シティエフエムは夜通し放送していて、情報を伝えたり、眠れないリスナーのためにリクエストに応えたりしていました。

災害が起きた時にビビッドに対応できるのはラジオです。ラジオは災害が発生した時のためのメディアといってもいいくらいです。とはいっても災害が発生した時に聴いてもらうためには、普段から愛される番組を作ることも大事です。

遠い存在であっては災害が起きた時に「ラジオをつけよう」という発想にすら至らないかもしれませんからね。

やきそば 大人になってラジオを聴くかどうかは原体験も大事ですよね。やっぱり親がラジオを聴いていた家だと子どももラジオの世界にすんなりと入るといいます。

金子さん なにかの番組に興味を持ってもらって、それをきっかけにほかの番組も聴いてもらえるのが理想のひとつです。

子どもの頃から触れてもらうために

やきそば 原体験が大事なのはバスもそうですよね。子どもの頃にバスを利用した人は、大人になっても乗る時に迷わなくてすみますし。

金子さん 子どもたちにバスの楽しさを知ってもらうために、50円で乗れるキャンペーンが行われたり、家族連れの多いイベントによく「はたらくクルマ」みたいな展示ブースがあって、そこでバスの乗車体験ができたりと、バスに親しみを持ってもらえる機会が増えたと感じます。

子どもが「乗りたい」といえば両親やおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に乗ってくれるかもしれません。

やきそば 金子さんのお話でバスとラジオが繋がりました。本日はありがとうございました。

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金子さんは現在『アサデス。ラジオ』(月曜〜金曜 6時30分〜12時)、『ハッピーアワー』(月曜〜金曜 16時〜17時55分)、『めぐみのラジオ』(土曜 7時15分〜10時40分)を担当しています。

また、Podcastで2024年1月3日放送の特別番組『金子哲也 バス語り記』のアーカイブも配信中。ぜひ、聴いてみてください(2024年2月時点)。

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ここからは全国の番組のなかから、乗り物をテーマにした番組を3本紹介します。

FMとやまでは、富山県内を東西に走る「あいの風とやま鉄道」の21の駅の魅力を紹介する『あいの風 日曜日のおでかけ』(日曜 9時55分〜10時)を放送。案内役は水梨子真穂さん。リスナーから届いたメッセージも紹介しています。

埼玉のFM NACK5の長寿番組『スギテツのGRAND NACK RAILROAD』(日曜 5時〜6時)はピアノとヴァイオリンのデュオ「スギテツ」(杉浦哲郎&岡田鉄平)が鉄道と音楽の話を繰り広げる人気番組です。

ピアノ担当の杉浦さんは鉄道が大好きなこともあり、2007年には「鉄道」をテーマにしたアルバム「電クラ」(電車+クラシック)をリリースしました。

番組ではおふたりによる鉄道トークはもちろん、鉄道が好きなゲストを迎えて話を伺う「鉄イイ話」、「鉄道あるある」、鉄道に関する音を再現する企画など、もりだくさん。

福岡のRKBラジオではこちらも長寿番組『旅ラジ  出発進行!』(土曜 28時45分〜29時)を放送。

同局のベテランアナウンサーで大の鉄道ファンの茅野正昌さんが楽しそうに語ります。今週の鉄旅情報、鉄道唱歌を紹介する「鉄道唱歌はいかがでショーカ!?」、リスナーから寄せられた手紙「こんなに鉄っちゃん」で構成。

番組のオープニングとエンディングでは、茅野アナが車掌のまねをするのが定番。エンディング曲は小椋佳「大いなる旅路」という旅尽くしの番組です。ちなみに「鉄道唱歌はいかがでショーカ!?」は、300番以上もある「鉄道唱歌」を1番(もしくは2番)ずつかけていきます。

<了>

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