ConfirMedia〜違法コピーを識別!音声透かしを使った放送モニタリングシステム〜

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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

ビデオリサーチは2002年5月未にアメリカ企業とのジョイントベンチャー「株式会社コンファメディア」を設立しました。「コンファメディア:ConfirMedia」は「Confirm(確認する)+Media」という造語で、音声透かしを使った放送等のモニタリングサービスを事業の主軸としてまいります。

さて、この会社の「音声透かし」や「放送モニタリング」とは一体どのようなものなのか?今後開始するサービスを含めてご紹介します。(技術的な説明については、厳密さよりもわかりやすさを優先させましたので、ご容赦ください。)

♪1:音声透かしとは......?

音声透かし=耳には聞こえないIDを、音楽などの音声コンテンツや映像コンテンツの音声部分に埋め込む技術。

例:「音楽CDに音声透かしを埋め込む」というのを具体的にいいますと......

その音楽以外は何も聞こえないのに、ある装置(透かし検出装置)にかけると埋め込んだ「固有の識別ナンバー」が引き出せるようになること。

♪2:なんのために音声透かしがあるの?

コンテンツ自体(音楽や映像。映像は音声部分のみ。)に製品番号(固有の識別ナンバー)を付けるためだと理解してください。コンテンツ自体に製品番号をシールで貼り付けるわけにはいきません。

♪3:音声透かしはどんな使い方ができるの?

その前に、もう少し音声透かしの粋性を追加しておきます。先ほどの「製品番号」は他の方法で埋め込むこともできるのですが、「透かし」で埋め込むと、

①意図的に除去することが難しい

②アナログからデジタルへの変換(逆も同じ)や圧縮にも耐えて生き残る

という利点が得られます。

このような透かしの特性が「使い方」に関わってきます。

透かしにはいくつかの応用例がありますが、そのうちの一つは放送のモニタリング。

さあ、ここでまたわからなくなってきました。

聞こえない製品番号と放送の関連はどこにあるのでしょうか?

下図をご覧ください。

vol413_07.jpg

なんとなくお分かりでしょうか?

つまり埋め込んだ製品番号を放送電波の中で発見したら、それを記録することによって「放送のなかでどんなものがいつ使われたのか」がわかる仕組みです。

(使われたものが音楽であれ、広告であれ音声透かしを入れたものであれば何でも良いわけです。)

♪4:だから何なの?

手間要らず。

例えば全国の放送局から流れる某有名歌手の新曲がどれくらい放送で流されたかを知りたい場合。FMラジオ放送局1局で1日に流れる音楽は少なくとも百数十曲以上。全国の放送をすべてチェックするのは大変です。

もし、このCDに透かしが入っていたら、先ほどの透かし検出器にかけると、寝ていてもその透かしの入った音楽の放送情報が入ってきます。

楽です。

♪5:でも、そういう放送のモニターつて他の方法があったよね。

そうです。

例えば音声マッチングというのがあります。

これは放送で流れた音をデータベースとマッチングしてみるというやり方で、フィンガープリント方式とも言われます。

もうひとつは人力。

上記二つの方法が現状では主流です。

ここで、先ほど説明した透かしの特性が効いてくるのです。

透かしというのは、消えない製品番号だといいましたが、この特性がまた別な活用方法を生み出します。

音楽や広告にはそれを作った人の「著作権」という権利が存在するのはご存知だと思います。しかし、現在その著作権を侵した「違法コピー」がインターネット上にあふれているというのが現状です。

さて、透かし(消えない製品番号)は圧縮(MP3など)や編集にも耐えて生き残りますから、インターネット上の違法コピーにも当然ついて回るわけです。

ある個人のサイトを覗いたら、有名歌手の新曲やCMソングがMP3のファイルで置いてあったとします。この歌手の著作権を管理している人が何ら許可を得ていないこのファイルを見つけた場合、訴えることができますが、そのときこのサイトから収集したMP3のファイルに透かし(消えない製品番号)が入っていれば管理者側は容易に権利を主張できるというわけです。(こういう透かしのような証明が無い場合、裁判のときに立証するのが大変なようです。)

透かし(製品番号)が権利者の「証拠」となるわけです。

透かしは元来こういう使い方を目的にして開発されたのだともいえます。

つまり......

コンテンツに透かしを埋め込むことによって、放送された状況が簡単に把握でき、なおかつ権利保護のための保険にもなる、ということになります。

♪6:透かしって「コピープロテクト」にも使えるんじゃないの?

DVD-Audioという製品があります。

これは高音質を売りとした音楽DVDです(映像なし)。このコピー・コントロールにはベランス社の透かしが使われていました。現状売られているコピー・コントロールCDは「暗号化」という手法が主に採用されているようです。

♪7:株式会社コンファメディアはどんなことをする会社なのか・・・・

全国の放送エリアにこの透かし検出装置を配備し、全放送をモニタリングして透かしを検出する。その結果を、透かしを入れていただいたお客様にレポートする。

例えば広告に透かしが入っていたら、お客様自身の広告が実際どれくらい出稿されたのかがすぐにわかることになります。また、インターネット上で透かしを発見したら、「どこのサイトであなたの製品番号(透かし)入りのファイルが見つかりました。」というレポートを発行する。

こんなサービスを近々展開してまいります。

このシステムは、アメリカのベランス社で開発されたもので、現在全米でモニタリングが行なわれています。

ビデオリサーチがベランス社とコンファメディアを設立したのは、このベランス社の音声透かし技術が世界のトップクラスであり、様々な団体の厳しい評価を見事にクリアしてきたという実績を見込んでのことです。

以上でコンファメディアの事業のご紹介を終わりますが、なかなかわかりにくい面もございます。 もしご興味がおありでしたら下記までご連絡ください。

株式会社コンファメディア 会社概要

設 立:2002年5月31日

資本金:8,000万円

株 主:株式会社ビデオリサーチ(51%)

Verance Corporation(25%)

コンステレーション・ベンチャーズ(24%)

*尚2002年11月未に増資予定資本金3億2千万円。

新規株主 株式会社東芝・株式会社ビデオリサーチコムハウス

本 社:東京都中央区入船2−1−1住友入船ビル3F

電話 03−3555−1021 FAX 03−3555−1024

(株式会社コンファメディア 桜井 保)

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