自社が狙っていくべき有望な顧客の見つけ方って?~コミュニケーション戦略を成功に導く「顧客理解」の実施ステップ~

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広告・マーケティング
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自社が狙っていくべき有望な顧客の見つけ方って?~コミュニケーション戦略を成功に導く「顧客理解」の実施ステップ~
この記事はこんな方にオススメ!
  • マーケティング業務を初めて担当することになった方
  • マーケティング戦略の立案にもっとデータ活用をしたい方
  • 顧客理解をどう進めればいいか迷っている方

「顧客理解」は、マーケターがコミュニケーション戦略を考える上での第一歩です。なぜなら、顧客を深く理解することで、企業やブランドのメッセージをより効果的に届けることができるからです。

ですが、実際に「顧客理解」するにはどうすればよいのでしょうか?
複数あるターゲット候補から、マーケティング成果を高めるために、限りある自社の経営資源を投下する施策の中心となる対象をどのように選ぶべきか、悩まれる企業様が多いように見受けられます。

そこで本記事では、ビデオリサーチのマーケティングコンサルタント宮田より、高級腕時計の販売促進キャンペーンを担当することになったマーケターを例に、顧客分類を行った後「どの層をターゲットにすべきなのか」、その評価方法と実際の活用方法をお伝えしていきます。

マーケティングの基本を教えてくれるのは...

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ソリューションユニット ビジネスソリューショングループ コンサルタント
宮田 正晃

中小企業診断士産業カウンセラー

「事業課題整理と構造化」「市場分析」「新規サービスの加入見込み推定」「KPI設計」「広告コミュニケーションPDCA構築」「多変量解析」などを得意とする。

2012年京都大学にて数学の修士課程を修了し、同年株式会社ビデオリサーチ入社。

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1.ターゲティングとは何か

はじめに、「ターゲティング」について考えてみましょう。

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ターゲティングとは、たとえるなら、ストラックアウトで「1番から9番のパネルのどこを狙うか?」を決めるようなものです。極端に言ってしまえば、全ての的にあたるまで球を投げ続ければいいかもしれません。しかし、自社の経営資源には限りがあるため「投げられる球が1球しかない」ということもあるはずです。

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また、どれも一緒に見える1番から9番の的ですが、実はどこに当てるかによって得点、マーケティングの成果が変わってきます。上の図であれば、30点の的を狙うべきですよね。

つまり、限りある経営資源を無駄なく使い、マーケティング成果を高めるためにどのターゲットを施策の中心に据えるのか、それを決めるのがターゲティングの役割なのです。

2.ターゲット評価の指標となる「市場規模」と「動きやすさ」

それでは、複数あるターゲット候補から狙うべきターゲットをどのように評価すればよいのでしょうか。

おすすめは、「市場規模」と「動きやすさ」で検討することです。

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「動きやすさ」とは、自社ブランドとの相性、競合ブランドとの相性を勘案して「自社が勝てるか」を検討することです。ターゲットの規模が十分にあっても、ターゲットが動かないのであれば意味がありません。一方で、ターゲットが動いてくれそうでも、規模が小さければ効果は限られてしまいます。つまり、量と質、2つの側面でとらえることが重要なのです。

3.データを活用したターゲットの分析方法

ここからは、ビデオリサーチが保有する日本最大級の生活者マーケティングデータ「ACR/ex」のデータを活用したターゲットの分析方法を、高級腕時計を例にご紹介します。

ステップ1の顧客分類では、行動変数の「カテゴリ関与度」と「自社ブランド関与度」で市場規模を8区分に分けていました。この8区分のユーザーのうち、どこをターゲットとすべきなのかを考えていきます。

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まずは、「市場規模」を見てみましょう。前回算出した市場規模のボリュームゾーンは、③の「腕時計所有ありかつ自社ブランドトライアル意向者」と、⑤から⑧の「認知のみ」or「非認知」です。市場規模から考えると、これらのセグメントがターゲットとして適しているといえます。

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続いて、「動きやすさ」を見ていきます。今回は、自社ブランドが高級腕時計であることを踏まえ、「腕時計の購入希望額が10万円以上の割合」を評価指標としました。その結果、①から③の「腕時計所有ありかつロイヤルユーザー」や「既に所有している人」、「トライアル意向者」が、動きやすさの側面でターゲットとして有望だと判断できるでしょう。

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ここまでの評価を、表にまとめてみました。すると、③の「腕時計所有ありかつトライアル意向者」が、市場規模・動きやすさの両面から見て、ターゲットとして最適であると考えられます。既に自社ブランドに対してトライアル意向が醸成されている層なので、購入に至るためのあと一押しをする施策を検討し、実行に移すことが求められるでしょう。

あるいは、②の「腕時計所有ありかつ自社ブランド所有者」に対して、より高額の自社ブランドを買ってもらう、新たにもう一本買ってもらうといった方向性や、⑤の「腕時計所有ありかつ自社ブランド認知のみ」に対して、トライアル意向を醸成し買ってもらう方向性も、ターゲット評価の結果から候補として挙がってきます。

本シリーズでは、③の「腕時計所有ありかつトライアル意向者」をターゲットに設定し、次のステップではこのターゲット層の理解をさらに深め、どのようにコミュニケーションを取っていくのかを検討していきます。順次公開予定ですので、ご期待ください。

ビデオリサーチでは、様々なデータを活用し、顧客理解からコミュニケーション戦略立案・効果検証までを幅広くお手伝いしています。本記事でご紹介したような顧客分析は、生活者データベース「ACR/ex」にて分析できますのでご興味お持ちいただいた方は以下より案内資料をダウンロードいただくか、お問合せください。

※本記事の動画版も公開しています。こちらからご覧ください。

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