【VR FORUM2021】Keynote:『これからの視聴率』について考える。2021

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【VR FORUM2021】Keynote:『これからの視聴率』について考える。2021

▲[ 登壇者 ]株式会社ビデオリサーチ 取締役常務執行役員 尾関 光司

ビデオリサーチでは、創業以来一貫してテレビ局由来のコンテンツの視聴状況を数値化してきましたが、今、さらなる概念拡張が求められています。インターネット領域にテレビメディアが進出するなかで当社は何ができるのか、これからの方向性について提起しました。

「新視聴率」全国対応完了で、テレビとデジタルメディアの比較が容易に

ビデオリサーチは、テレビ局由来のコンテンツをすべて測定し、数値化することを目指しています。「新視聴率」は2021年10月4日に山梨・福井・徳島・佐賀・宮崎の5地区が加わり、日本のすべての放送エリア全32地区での導入が完了しました。これによって、テレビにおける視聴人数の算出を全国ベースで行えるようにもなり、デジタルメディアとの比較がしやすくなりました。

加えて、番組・CMのリアルタイム視聴率に放映後7日間のタイムシフト視聴率を組み合わせた新たな広告の取引指標「P+C7」の導入も進んでいます。「2018年4月に関東地区で導入されたのを皮切りに、2022年4月には高知地区まで、さらに新たな5地区(山梨・福井・徳島・佐賀・宮崎)についても2023年4月の導入(予定)を目指しています。

46522-001.png さらに、昨今増加する、インターネット経由でのテレビコンテンツ視聴にも対応していきます。PM(機械式計測)によるリアルタイム・タイムシフトの視聴データとキャッチアップ(見逃し配信)の視聴データを組み合わせて、番組を視聴したトータルな人数を算出する取り組みも行っていきます。

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テレビメディアは「インターネット化」し、プラットフォームの横断が前提に

ネット接続したテレビ端末「コネクテッドTV(CTV)」の普及率は、関東の視聴率調査世帯の52.8%にまで達しました。テレビデバイスで見られているコンテンツもYouTubeやAmazon Prime Video、NetflixなどのSVOD(定額制有料動画サービス)が上位を占め、テレビ画面に放送以外のものが映っている「空きチャンネル」の割合も時系列でみて上昇傾向にあります。

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放送局は、テレビ画面に放送以外のコンテンツがどんどん入ってきていることを意識するでしょうし、VODを提供するIT企業としては、今後さらに"ウィンドウの拡大"をどこまでできるのか、ということになるでしょう。

「IT企業がテレビ画面に入ってきている」一方で、テレビ局側からも様ざまなデジタルプラットフォームへの進出が目立っています。地上波アナログ放送が終了した2011年の翌年頃からテレビ局のYouTube公式チャンネルの開設数が急激に伸び、現在は全国の地上波テレビ局127局すべてが運営しています。今のところ、番組宣伝としての利用が多いですが、ニュースや番組連動企画などの独自コンテンツを配信したり、一部のローカル局では地域密着型の情報発信に取り組まれています。

このような変化を見ていくと、「テレビメディアはどこまでインターネット化していくのか」が焦点となります。自社のプラットフォームを優先することは大前提ですが、そのうえで、いかに他のプラットフォームにもコンテンツの公開範囲を広げていくかがキーとなってくるでしょう。そして、個人情報保護の課題はありますが、「インターネット化」が進めば、これまで以上に様ざまなデータと繋がる環境が整ってきます。

テレビメディアが、メディアの「横断的な世界」にどこまで入っていくかも注視したいポイントです。出版など他メディアも動画コンテンツをたくさん保有しているため、こうしたものも含め、今後の動向に着目しています。

「新視聴率」の先に描く、視聴率の"概念拡張"のカタチ

最後に、これからの視聴率の方向性を示したいと思います。2021年10月にある程度のかたちが整った「新視聴率」ですが、これから、さらに概念拡張をしていかなければならないと考えています。

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視聴率の概念拡張に関しては、3つの方向性を考えています。

1つ目は、「プラットフォームを数値化する。」です。キャッチアップやリアルタイム配信など、テレビ局由来のプラットフォームはもちろん、YouTubeなど、放送以外のデジタルプラットフォームを通じて発信するコンテンツも共通基準での数値化に取り組みます。

また、現在の若い世代は、旅行先などを検索する際に、ネット上で「動画検索」をして判断材料にしているといいます。そのような視聴実態なども踏まえつつ、今後は、広い意味でインターネット上で受容性が高いコンテンツはどのようなものなのかを確認していくことも重要だと考えています。

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2つ目は、「広告主の個別ニーズに応える。」です。広告主は一社一社ユニークな存在であり、マーケティング目標も様ざまです。KPIも商品購入やダウンロード数、SNSでのリツイート数など指標は多種多様といえます。ビデオリサーチは、このような広告主の個別ニーズへの対応を検討しております。例えば、広告主が持つ1stパーティデータとテレビの視聴データを接続することで、購買活動に積極的なターゲット層をあぶり出し、この人々がテレビをよく視聴する時間帯のヒートマップを描くことが可能です。そして、このような取り組みが、テレビのメディア価値を高めていくことに繋がると考えております。

3つ目は、「コンテンツの質を数値化する。」です。番組やCMに対するTwitter上のつぶやきを分解し、投稿者の性年齢や、投稿内容のポジ・ネガを集計します。さらに、新しい試みとして、コンテンツの評価ワードでランキングを作ることができるようになり、その中から代表的なツイートをAIによって抽出する仕組みを構築しました。

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「共通データ」と「個別ニーズ」をマッチングする共通基盤の整備

ビデオリサーチは、テレビ局由来のコンテンツ(番組・CM)をすべて測定・数値化することを目指しています。そのために、①測定範囲の拡大、②測定指標の深化、③コンテンツの内容評価そのものを数値化するという3つの方向性で視聴率の概念拡張を行います。そして、この概念拡張によって得られる「共通データ」と広告主ごとの「個別ニーズ」をマッチングする基盤を整備し、皆さまにご利用していただきたいと考えています。

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ビデオリサーチは、皆さまのご協力で「新視聴率」を整えることが出来ました。今後もさらにチャレンジを進め、テレビのDX化に対応した「次世代の視聴率」をご提供していきたいと考えております。


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「VR FORUM 2021」レポート記事一覧

主催者挨拶
株式会社ビデオリサーチ 代表取締役社長執行役員 望月 渡

◆Keynote 『これからの視聴率』について考える。2021
株式会社ビデオリサーチ 取締役常務執行役員 尾関 光司

Session1 テレビ×デジタルに求められる指標とデータ活用の可能性について
株式会社リクルート マーケティング室ブランドプランニングユニット長 熊切 淳氏
株式会社フジテレビジョン 営業局局長職兼デジタル営業部長スポット営業部管掌 戸津川 隆元氏
株式会社ビデオリサーチ 営業局営業企画部長 河辺 昌之

Session2 視聴質指標の開発について
サントリーコミュニケーションズ株式会社 宣伝部長 牧野 清克氏
株式会社電通 ソリューション・クリエーション・センターSP 谷内 宏行氏
株式会社ビデオリサーチ 執行役員兼テレビ事業局長 橋本 和彦

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